アルブレクソン・インプラント講演会
最近、ブログの更新が滞っている。理由は、年度末で諸事に追われ、ゆっくりと文を考えていられないからだ。

そのようなわけで、ちょっと手抜きをして、先日都内某所で行われた、アルブレクソンの講演会の要約を書いてみたい。

まず、アルブレクソンとはどんな人か。インプラントの原理ともいうべき、オッセオインテグレーションを発見、命名したのは、言わずと知れたブローネマルクであるが、そのインプラントにエビデンスをつけたのがアルブレクソンであると、私は思う。インプラントの父をブローネマルクと呼ぶならば、母はアルブレクソンであろう。

そんな、アルブレクソンだからこそ、インプラント治療を真摯に考え、大事に育てている。インプラント治療において、営利的な企業体制や研究が横行する中、常に中立で妥協を許さない彼の姿は、正にインプラントを見守る、インプラントの母と呼んでもいい(注:アルブレクソンは男です)。

インプラントの4大カンパニー(ノーベルバイオケア、ストローマン、3i、アストラ)を中心に、その機能や特性を細かに述べてくれた。殆どが既知の知識であったが、インプラント治療を一から再確認できたので、良い復習になった。

そんな言葉の中で、印象深い話は「メーカーが出す研究データや、メーカーからの肝いりの研究者が出すデータを鵜呑みにしてはいけない。しかし、それよりも重要なことは、ユーザーはメーカーからの供給されたものだけの比較と言う錯覚に陥っていて、術者の技量が最も重要であることを忘れている。」ということであった。つまり、製品の比較は、(怪しいデータもあるが)多々あり、人々は、どこそこのインプラントが優れているという比較をしたがるものだが、実は一番インプラント治療を左右するのは術者の腕であるということだ。

割と当たり前のことだが、「先生方が下手だとインプラントは失敗しますよ」とはなかなか、講演者は言えないもので、人ではなく物の責任にするほうが角が立たないので、皆気づいてはいても、言わないのが、この業界の暗黙の了解でもある。

いくつか例を挙げて、そのことを説明してくれた。まず、スウェーデンのある大学病院で、失敗例を追跡調査したところ、特定の術者による症例に失敗例が多いことが判明。その症例は難症例ではなく、極めてありふれた症例にもかかわらず、その病院で起きている失敗の約半分がその特定の先生であった。このことは、明らかに術者による差があることを示している。

また、ノーベル・バイオケア社のノーベルダイレクトについての説明でも納得させられた。インプラント界のメルセデスとも言うべき、ノーベル・バイオケア社から発売されている、ノーベルダイレクトというインプラントがある。これは、ワンピース型のインプラントである。ワンピース型インプラントとは、骨に埋まる部分と、骨から出てくる部分が一体化しているインプラントで、オーソドックスなタイプが、ツーピースであるのに対し、簡素で廉価を目指したインプラントである。私は、ワンピースインプラントは、インプラントとは呼べる代物ではないと思うが、世に出て、インプラントといわれているので、一応インプラントである。

さて、このノーベルダイレクト、本国スウェーデン(と米国)では、1年半の発売禁止となった。理由は、あまりにも失敗例が多いからだ。随分前から、失敗例が多いことが報告されていたにもかかわらず、ノーベルは対応しなかった。痺れを切らした有識者達(アルブレクソンもその一人)はとうとう、スウェーデンのFDAに調査を求めた。FDAは調査チームを結成させ、ノーベルダイレクトの実態調査を行った結果、FDAから発売禁止との厳罰を言い渡されたのが約2年ほど前の話である。

では何がいけなかったのか?理由は様々であるが、その様々な理由を、アルブレクソンはこう説明した。「インプラント治療においても、リスクを組み合わせてはいけない。ノーベルダイレクトの製品自体には、それほど問題はあるとは考えていない。問題は、そのプロトコール、つまり手順書にある。複数のリスク、例えばフラップレス、即時荷重、即時形成・・・このようなリスクを全て、組み合わせれば、失敗の確率は飛躍的に向上してしまうことになる。」

結果、ノーベルはダイレクトの手引書を変更することにより、FDAの再販許可を取り付けた。製品の変更は無く、手引書、つまりメーカー推薦の手術方法をツーピース型インプラントの手順に近づけた。

これらの失敗例も、製品ではなく、(メーカーの指示に従った)術者側の要因であったことを物語っている。

講演会の中で知ったが、米国またはスウェーデンのFDAは、メーカーの申請に基づき、その製品に販売許可を与えるが、その許可(510K、CEマーク)を取得するのに、臨床データは不要だとのことだ。つまり、全く臨床データが無いのに、人の体内に埋め込む器具を許可していることになる。

最後にアルブレクソンは次のように述べている。
「時として、日本の関係当局は、その許認可に非常に慎重すぎるといわれているようだが、その慎重さによって、国民の健康は守られている。性急な許認可は、経済至上主義がもたらす弊害である。我々は、明確な臨床データ(ドキュメント)が出ているものだけを、使用する必要がある。」
当院のスタッフ その2
当院のコ・デンタルスタッフの経歴は多種多様である。

他院に長く勤めていた者や、ホテルのコンシェルジュ、飲食業etc...現役の学生さんや美容師さんまでいる。

私自身、学生さんにはなるべく歯科の仕事以外のアルバイトをするように薦めるが、理由は、接客や勤労という概念を植えつける必要を感じているからだ。とかく、歯科の業界の人たちは、これらの概念に乏しいように感じている。

日常生活の中で高いレベルの痛みを感じる歯科疾患に罹患した患者さんを相手に、細心の注意を払って接する必要があるはずである。しかし、なかなか日常臨床の忙しさを理由に、十分な配慮を出来ない人たちをよく目にする。

特に、勤労という概念は、決して金銭だけの問題ではないと思う。確かに労働により賃金を得ることは最大の目的かもしれないが、やはり、人を相手にする職業の喜びは、対象者の喜びを目の当たりに出来ることにあるのではないかと考える。

この、人に接することにより、勤労の喜びを得られることを知る人間は、仕事が出来る。

そのような、観点から、当院でのスタッフ選びは行われている。

冒頭にも述べたが、医療はチームワークである。サッカーであれば、シュートを打つのは歯科医師であるが、パスをまわし、ゴールを守るのはコ・デンタルスタッフである。より良い試合ができるのは、チーム全体のクオリティの高さからだと、感謝している。
当院のスタッフ その1
歯科治療ならずとも、医療は連係プレー、チームワークが重要である。

特に、難易度の高い治療を行うには、一人のドクターの力では到底満足できる治療結果を得ることは出来ない。

そのような中で、当院のスタッフ達ならびに外注先技工所の皆様達には非常に助けられている。

当院の技工物を製作していただいている技工所の高い技術レベルは、何度かこのブログでも触れたが、今日は院内のスタッフについて述べたい。

まず当院のドクターは常勤、非常勤含め、大学病院での勤務経験者または現在も大学病院に勤務するドクターである。

大学病院では各専門講座(専門科)に分かれ、各々が自分のスペシャリティを追及していく。このスペシャリティは、開業医でも研鑽を積むことは出来るが、やはり、特殊技術の習得には環境に依存するところが大きい。医局内での症例報告会、抄読会(海外で発表された最新の論文を読んで、文献的考察を検討する勉強会)、カンファレンスなどは当然で、年に数度の国内外学会への参加や発表etc.....例え、勉強したくなくても勉強せざるを得ない環境が大学病院の勤務医にはある。

また、治療に関しても、時間に追われることなく、トコトン時間を費やせる。丸1日、1人の患者さんを診る事だって可能だ。そして基本的に学生や研修医の指導をしながらの診療となる。人に教えながらの診療は、さながら大リーグ養成ギブスを着けられた星飛馬の心胸だ。ビギナーたちに正しく、基本的な知識と技術、そして歯科医師としての心構えを伝えるには、指導する側に非常に高いスキルがないと達成できない。

そんな、高いスキルを持つドクターでなければ、歯科医師異常過多の乱世を生き抜くことはできないと考えている。現在、歯科界は、今週のスパに「止まらない歯医者の赤貧化」とのタイトルで記事が出てしまう程のご時勢である。週刊誌の記事なので、的を得てはいなかったような気もするが、実際、歯科医院はコンビニの2倍(スパの記事では現在1.5倍)に達する勢いで増え続けているのは確かだ。

もともと、医業とは医師により独占が許された、いわば非競争社会であったが、独占者間での競争までも起きないと言うわけではない。いわば、身内の争い、骨肉の争いと言っても過言ではない。さながら、医療戦国時代ともいうべきであろう。

病に困っている人々が、近隣ということで、医院を訪れる時代は終わろうとしている。クライアントは自由に、そして多岐にわたる選択肢から、自分の意思で医院を選ぶことができる。

その選ぶ時の基準は、様々であろうが、こと医療に関しては、やはり「安心」を求めるものであろう。私が患者なら、信頼できる医師を選びたい。先生の性別、年齢、人間性、医院の雰囲気、機器備品・・・様々な要素によってその「安心」が生み出されるが、その中で最も重要なのは、やはり「腕」つまり「技術」ではないだろうか。医師は治療して、患者を治してこそ医師であることは言うまでもない。特に、歯科治療においては、その特殊性ゆえに術者の技量の差は、如実に治療結果に現れる。

幸い、歯科医院過剰時代を迎え、歯科医師が1日に診る患者数も減り、その分、1回の診察時間も増えてきた。

大昔に、開業医の先輩から「大学病院でやるようにやっていたら、開業医ではやっていけない」と言われて、奮起一番したことがあったが、今は、昔ながらの開業医のようにやっていたら、開業医になれない時代だと考えている。

どちらかというと、少ないクライアントに対し、じっくりとゆったりと時間をかけ、きめ細やかな配慮で丁寧で精巧な歯科治療を提供する、大学病院での診療スタイルを、社会は求めているのではないだろうか。

そのような観点から、当院では大学病院での勤務経験、または現在も勤務している歯科医師が、同じクォリティで診療をしている。むしろ、大量生産時代は終わり、一つ一つ手作りのこだわりの時代だと思う。そのような、治療ができる歯科医師はどこにでもいるわけではない。正に、手が荒れていない歯科医師が、自分の周りにいることは、大変心強いサポーターであり、私の性格上、なかなか言葉に出来ないが、この場を借りて感謝したい。

コ・デンタルスタッフについては、その2に続く・・・・

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