インプラントの精度 その2 土台と冠の隙間
前回、咬み合わせの精度が重要なことは述べましたが、更に精度が要求されるのが、土台と冠の隙間の精度です。土台をアバットメントと呼び、冠は外側にあるので外冠と呼びます。この外冠とアバットメントの隙間がゼロになることが最も、強度的にも衛生的にも好ましいことです。

つまり、外冠とアバットメントとが密着することにより一体化し、外力に耐え、隙間に入り込む汚れ(細菌)もなくなります。

咬み合わせの精度も誤差0を狙いますが、実は、ある程度の許容範囲内があります。たとえば、咬み合わせる相手の歯が自分の歯であれば、自分の歯の方がある程度調節してくれたりします。また、口の中に入れた状態で、調整も可能ですし、多少高い(数十μm)ぐらいであれば、削れてきたりして自動的に調整してくれたりします。そういう期待から、外冠を金合金(柔らかい金属)やハイブリッドセラミックス(注:セラミックスと呼ばれていますが基本的にはレジン、プラスチック)で作る先生もいます。

しかし、外冠とアバットメントの隙間は自動調整してくれません。作製時の精度はどこまで行ってもそのままです。

そこで、決定的な差につながるのが、アバットメントと外冠をくっつける、装着方式です。これには2つの方式があり、一つはセメント方式、もう一つはスクリュー方式といいます。

どちらのも一長一短ありますが、圧倒的にセメント方式が主流となっています。理由は簡単で、作製が簡単で、高い精度を要求されないからです。セメント方式では、文字通りセメントでアバットメントと外冠をくっつけます。しかるにセメントが介在しないといけませんので、その隙間を最初からわざとあけます。このわざとセメントのスペースを設ける方法は、通常の歯の冠を作製するときにも設けますので、作り方は、ごく平凡な作り方と言えます。つまり、一般治療レベルでインプラントの冠を作ることが出来ます。

セメントのスペースは30-50μmですので、このスペースが誤差を吸収することになります。しかし、セメントは時間とともに溶けますし、アバットメントと外冠の隙間はところどころセメントが回り込んでいない部位も出てくることがあります。また、セメントの取りの残しなどが生じれば、インプラントの周りに人工歯石をつけてしまうことになります。

一方、セメントではなく、スクリュー(ネジ)で外冠をくっつける方法がスクリュー方式ですが、このスクリュー方式も沢山あり、私が主に用いているのは、舌側サイドスクリュー方式で、しかも形状が特殊なネジを用います。

スクリュー方式の欠点に、スクリューのネジ穴から汚れが入り込み、中が汚れるということが挙げられますが、この特殊なネジは、最後までネジを締めることにより完全にネジ穴を閉鎖し、外冠と一体化します。そして、その締める力により、アバットメントと外冠をキュッと密着させます。

そこで問題となるのが、誤差です。スクリューを締める時にわずかでも浮き上がっている(誤差がある)と、スクリューが最後まで締められません。つまり、完璧な精度がないと、この方式ではインプラントをすることが出来まないのです。

この、スクリュー方式の最大の難問は、このネジを使い、完璧な技工物を作製できる技工士さんが、ほとんどいないということです。

今までに数々の技工士さんに依頼してみました。有名無名問わず、技工士さんにあれこれ注文をつけながら、作製してもらいましたが、ほとんどの技工士さんは、誤差0の技工物を作製することができませんでした。当然です。使う材料(石膏や型取り材、金属や陶材・・・)に様々な誤差(収縮であったり膨張であったり)が生じるわけです。それらの誤差を予測しながら足したり引いたりして、最終形に誤差が生じないように作るわけですから、ほとんど神業です。現在、その神業で技工物を作製してくれる技工士さんが2人います。この2人の技術なくして、この方式は達成できませんので、感謝に耐えません。私の強力なパートナーです。

咬み合わせは、後でも帳尻あわせができますが、この隙間だけは、どうにもなりません。特に、歯茎の境目に隙間はでてきますから、セメント方式では、セメントの取り残しや汚れが入る隙間が出来やすかったりと、理想的なインプラント治療とはなりません。

スクリュー方式(舌側サイドスクリュー)は非常に、手間のかかる方法ですが、私はこの方法に日本建築に通ずる美しさを感じています。これには、宮大工のつぎ手技法のような匠の技が生きています。

歯科医師はサイエンスに基づいた職人です。その職人芸の真骨頂とも言うべき舌側サイドスクリュー方式は自分の技術の象徴であるとともに、プライドでもあるので、これからもこだわり続けて行きたいと考えています。
インプラントの精度 その1 咬み合わせ
インプラントの精度というと主に2箇所の精度があげられます。

1つは咬み合わせの精度です。
咬み合わせには、垂直的な咬み合わせと水平的な咬み合わせがあり、この両方の精度は非常に重要なことです。

しかし、重要だということは患者さんに説明していますが、実際、なぜそれが重要かと言う事はあまり詳しくは説明していないと思いますので、ここで詳しく説明したいと思います。

まず、インプラントと歯(天然歯)の構造を理解する必要があります。重要な点は、インプラントは骨とダイレクトに癒着していますが、歯は歯根膜という靭帯を介して骨とくっついているという点です。この歯根膜の働きを考えると、なぜ、インプラントでは高精度の咬み合わせが必要かがわかります。

歯根膜の厚さは200-250μmほどあります。靭帯ですから硬い皮のようになっており、歯と骨を強固に結び付けています。歯根膜は非常に色々なことをしており、重要な組織ですが、咬み合わせに関係していることだけを抜粋してみましょう。

--歯は生理的動揺がある

歯の骨が歯周病などにより、なくなってしまうと揺れるのは知られていますが、健康な歯でも若干の揺れがあります。それを生理的動揺といい、それはどのくらいかというと200μm以下としています。この生理的動揺、つまり歯の“遊び”分があるから、歯科治療は成り立っていることもあります。人間の手によって作られる、冠や詰め物は、厳密には誤差があり、構造上、“遊び”がないとセメントで着ける時に、浮き上がりを生じてしまうため、最初から“遊び”を設けもいます。この話は、次回「インプラントの精度 その2 土台と冠の隙間」に詳しく述べることにし、歯の“遊び”がなぜ重要かについて考えてみます。
誤差を吸収できる、“遊び”が沢山あればあるほど、誤差を吸収できるので、精度はあまり要求されません。ですので、逆に言うと、“遊び”がないものは高い精度を要求されるということになります。
ではインプラントはどうでしょうか?歯根膜はありません。つまり、骨やチタン自体がもつ、タワミ分(数μm)ぐらいしか“遊び”はありません。実際、それらのタワミは“遊び”にはなりません。なぜなら、タワミはバネのように絶えずインプラントに継続的な力をかけることになり、その力はインプラントをだめにさせます。
よって、歯であれば200μm程度の精度で済みますが、インプラントであれば理論上0μm・・・つまり誤差0が要求されます。
ゴルフで例えるなら、グリーンを狙う(一般歯科治療)のか、直接カップを狙う(インプラント治療)のかぐらいの違いがあるかと思います。

--歯根膜の自動調整
歯が矯正などにより、骨の中を動くことができるのは、歯根膜があるおかげです。歯は押されたり引かれたりすると、押された方向にある骨を溶かし、引かれた方には骨を作ることができます。この仕事をしているのが、歯根膜です。この歯根膜のおかげで、一定の“遊び”が確保され、時には、歯が動くことにより咬み合わせを自動的に調整しています。この歯根膜がインプラントにはありません。ですから、自ら微調整をしてくれる歯の治療では、歯根膜の自動調整範囲以内に収めてあげれば、後は歯の方が勝手に調整してくれることになりますが、インプラントでは最後まで、歯科医師の手により調整をしないといけません。
上と同じようにゴルフで言えば、ピン側に寄せてOKを出してもらえる「遊びのゴルフ」とルール通りカップに入れないと終了しない「正式のゴルフ」の違いと考えると分かりやすいかと思います。



歯科治療では医療の中でも、元来、高い精度が要求される仕事ですが、その中でも、インプラント治療はさらに高い精度が要求される治療だということを理解して頂けたと思います。

次回は、更に咬み合わせより、精度が必要な「インプラントの精度 その2 土台と冠の隙間」についてお話したいと思います。
インプラント:過去の亡霊
本日、診療をしているとある歯科医師から治療依頼があった。その患者さんは、以前にも拝見していて最近やっと治療に区切りが付いたので、依頼元のその歯科医師に戻したばかりだったので、一瞬ドキッとした。

その患者さんは、以前、米国でインプラント治療を受け、丁度1年ぐらい前に、その先生から、インプラントが破折しているので診て欲しいという依頼を受けた。治療は順調に進み、破折しているインプラントの摘出や新たなインプラントの植立などを終え、最近依頼元に戻っていただいた。今回は、別の場所のインプラントが折れているということで、電話があり、急遽、私のところへ来院していただいた。

結果、破折はしていなかったが、頚部から取れてしまっていたアバットメント(ジョイント)と上部構造体(冠)を取り外すのに非常に苦労した。ブレード型でしかも特殊は構造で、他のインプラントシステムとの互換性はまったくない。アバットメントをきれいに分離させる必要があったので、マイクロスコープ下にて、外冠を慎重に切断して取り出した。

米国の前医は、ブレード型と歯根型インプラントを混在させて使っており、おまけに上部構造体はセメントで合着していた。しかも、アバットメントスクリューへのアクセスホールは、セメントで満たされており、とても次の手を読んだ治療ではない。

前回の依頼の時は、ブレード型インプラントの頚部で破断しており、摘出と埋入に苦労させられた。上部構造体を作製する際にも、元からあった、歯根型インプラントのアバットメントから作製しなおそうとしたら、セメントで埋められていた。

確かに、セメント方式は世界でもスタンダードであるが、アクセスホールには緩衝用綿球などを置き、万が一の場合、スクリューにアクセスできるようにしておくのがマナーである。ブレード型インプラントは米国では20年前に、駄目出しされたものであるのに、なぜ使っているのだろう。骨幅はたっぷりあるのに、意味不明だった。

日本では、15年ぐらい前からブレード型は駄目出しされている。つまり、インプラントとしては使ってはいけないものとなっている。残念なことに、このブレード型インプラントが、日本で主流であった時期があった。このため、「インプラントは駄目な治療」だというレッテルを貼られた暗い過去が日本のインプラント業界にはある。

1970-80年代に、開業医主導で広まってしまった日本のインプラント治療は、簡便さから、ブレード型インプラントが主流となってしまった。理論もノウハウもなかった時代に、高額な治療費を得るためにインプラントを始めた先生が多かったため、ついには「インプラントは悪魔の囁き」などという本まで出させてしまった。

1990年代に入ると、失敗例が出尽くし、インプラントは歯根型で骨と癒着して初めて機能するということがコンセンサスを得るようになると、歯根型インプラント以外のインプラントを行っていた先生は廃業するか、システムを乗り換えることとなった。日本のインプラントの遅い夜明けである。

今でも、過去の亡霊とも言うべきブレード型を時々目にする。トラブルがあて、私の元に紹介されてくるので当然だが、それらは全て壊れている。そして、摘出は更に厄介だ、多くの場合、再びインプラントを埋め込めない状況になってしまっている。

気の毒なのは患者さんである。自分の口は廃業することも出来ないし、簡単にシステムを入れ替えることはできない・・・・
インプラントの治療費インプラントの真贋
「先生に何とかしてもらいたい人がいるんだけど・・・」ととある名古屋の方の先生から依頼を受けたのは数年前のことでした。数日後、診査のためX線を撮り愕然としました。本の中でしか見たことのない、インプラントのオンパレード・・・いや、とてもインプラントといえる代物ではなく、太いネジか釘のようであったのを記憶しています。

まず、他院で行われたインプラントの対応で真っ先にしなければいけないのが、そのインプラントメーカーとサイズの特定である。ほとんどのインプラントはそのX線像から見分けがつくが、これは特定できなかった。いや、今回は、特定するまでもなかった。なぜなら、この患者さんに使われていたインプラントは一般には流通していないものだったからで、簡単に言えば、その先生が独自に作ったインプラントだからだ。おまけにワンピースであるので、このようにトラブルを抱えたインプラントは摘出以外の選択肢はなかった。というより、骨と癒着していないので簡単に抜けてきた。

今回のように独自に町工場に作らせたインプラントを使うケースは非常に特異だが、歴とした歯科材料メーカーも似たようなものを提供している。特に国産メーカーに多い。

元々、インプラントというのはかなりシステマッティックに考えられ、構成されているものである。それが、利点でもあり欠点でもあるが、利点を超える欠点がないので、世界中の臨床家がほぼ同じような方向性を持ってインプラント治療を行っている。しかし、その中で、あえて欠点を補うことだけを目的に開発されたのが、ワンピースインプラントである。

一般的にインプラントのステップは3段階で、一次手術、二次手術、上部構造体作製である。当然、このステップごとに、パーツは構成されるので、インプラントは3パーツ、つまりフィクスチャー、アバットメント、外冠に分けられる。この各段階で慎重に処置が行われるから、インプラント治療は確実な治療法として、良好な臨床成績を50年間積み上げてきた。またこの分割された構造があるから、どこかに問題が生じた時に分解でき、簡単に対応が出来るのもインプラントの利点である。この利点は、普通の歯の治療にはない利点なので、インプラント特有の利点であるといえる。

しかし、これらの利点は、同時に欠点でもある。つまり、ステップが3段階もあるということは時間がかかり、3パーツに分けられるということは、そのパーツ間で破断する危険性もある。また、パーツが多いということは、費用もかかるということで、同時に手間がかかり、歯科技工士の質が問われることとなる。

そこで、ワンピースインプラントが開発された。簡単で技工操作の簡単なインプラントとして、近年登場した。簡単に言うと、太いネジを骨に刺す。埋め込むのでなく刺し込む。最初の手術で、歯茎からインプラントが飛び出ている。当然、歯茎から出ている分、感染するリスクは高い。運よく骨と癒着しても、感染は必ず起こしているので、長く持つ可能性は低くなる。数ヶ月の後に、その歯茎から飛び出ている部分を、歯を削るように削り、普通に型取りして冠をつくる。インプラントが骨と癒着さえすれば、後は普通どおりの治療となり、冠を金属で作るのであれば5千円ぐらいのコストで出来てしまう。ちなみにツーピースであれば、10万円ぐらいのコストになる。この差は、患者さんのみならず、歯科医師にとっても魅力的のようだ。当然である。手間暇かけて、10万円の利益を出すには、20万円の請求を患者さんにしなければいけないところを、ワンピースであれば、10万5千円ですむ。おまけに診療の労力は非常に軽い。いつも通りの歯を削って型を取るだけの作業で、インプラントの上部構造体が出来てしまう。専用の型取り剤やパーツ、腕の良い技工士さんも要らない。

このようなワンピースインプラントを見ると、贋物のブランド品や時計を連想する。パッと見は一緒だが、明らかに値段も質も違う。こういった贋物販売の場合、10万円の品が5千円ぐらいで売っているということは目に、耳にするので、どうしても連想してしまうのかもしれない。しかし、贋物であろうとも、そこそこ使えるのはバックでも時計でも、インプラントでもいいんだという意見を、患者さんや、そういったインプラントを行う先生からも時々言われると、そんなものかとも思うと少し寂しいように思う。

私自身、真贋にはこだわるほうなので、そんな治療はしたくはないと考えますが、皆さんはいかがでしょうか?

インプラントの治療費△修瞭睫
時々、インプラント治療を始めようとする先生から、「先生?インプラントはいくらに料金設定したらいいでしょう?インプラントの相場を教えてください。」と質問を受けます。非常に困る質問で、極一般的な相場を教えて答えとしています。

「大体、30−50万円ぐらいが相場ではないかなぁ」

答えた後、30万円になるか、50万円になるかは、市場経済の原則に従うことも付け加えることにしています。つまり、コストがかかれば価格は上がり、下がれば当然下がる。また、一人のインプラントロジストが年間に消化できる施術には限りがあるので、需要と供給のバランスが崩れれば、価格は上がることになります。

簡単に言えば、ビギナーでコストを抑えた治療であれば、30万円/歯とは言わずもっと安くても良いと思うし、熟練したドクターで、完成度を極めた治療であれば、50万円/歯とは言わずもっと高くても良いと思う。

ただコストといっても、目に見えるコストと目に見えないコストがある。目に見えるコストとはまさしく部品・材料代で、見えないコストとは技工料や施術料といえる。

インプラント治療の費用の内訳はおおよそ、部品代金が1/8、技工代金が3/8、施術代金(手術、人件費など)が1/2となっています。目に見えるコストは全体の1/8ですので、インプラント治療のほとんどは、目に見えないコストということになります。実は診察や手術に際しての治療費とは、そもそも目に見えないコストに対する対価なわけで、何もインプラント治療に限ったことではないのです。お医者さんで診察を受け、薬を出してもらうのに、初診料から診断料、処方料・・・ほとんどが目に見えないコストに支払われる料金で、ポリープを取ってもらう手術をしても同じです。

インプラント治療に対しても、単純に仕入れ値(目に見えるコスト)がいくらだから、利益を2割乗せて販売すればこの値段と・・・というものではなく、目に見えないコストをいくらで見積もるかというところで幅が出てきます。結局、いろいろなケースに対して設定された治療費を見ていくと、30-50万円/歯という金額に収まってくるのは市場経済の原理に基づくからなのでしょう。

ただ、なかなか一般の患者さんが設定された治療費を妥当かどうか判断するのは難しいと思います。そこで、一つの目安をご紹介しておきます。

「あまりにも安いまたは高い料金設定には理由がある」
高い治療費の設定であれば、誰でも注意しますのであえて注意を促す必要は無いと思いますが、特に安い場合には要注意です。消費者マインドとしては、飛びつきやすいのですが、今まで説明したように、目に見えないコストを削減しなくては、治療費を安くすることはできません。時々、「大量仕入れによりコスト削減しています!」と、大型家電量販店のようなキャッチコピーを謳っていることもあるようですが、そのようなことはまずありえません。仮に安く仕入れられたとしても、全体の1/8でしかないことを思い出してください。
また、安い治療費を強調しているところは、国産のインプラントメーカーでしかもワンピースを使っているところが多い傾向があります。国産メーカーも色々で、日本の工業技術は世界でも群を抜いていますので製品としては問題ありませんが、理由は製品の出来にではなく、独自の製品スタンスであったり、低い流通性や臨床・基礎データが乏しいということにあります。また、インプラントをきちんと学んだ先生は、科学的な根拠に基づく判断をする習慣がついているので、そのような問題点を多く抱える国産メーカーのインプラントは使用しない傾向にあります。
国産メーカーでワンピースであれば、治療費をかなり安くすることができますが、学術的にとてもインプラントといえる代物ではないというものも存在します。治療費であれば20万円以下で、安いところは10万円以下というところもあります。どうして、国産メーカーでワンピースは、安くできるのかは次回の「インプラントの治療費インプラントの真贋」で詳しく述べます。

インプラントの治療費(欷閏N鼎箸虜
一般的にインプラント治療は保険が利きません。保険が利かないということは自由診療、すなわち患者さんの自費診療となります。

このため、歯科医師は自分の技量や経費に見合った料金設定を自由に設定することができ、顧客である患者さんが料金を了承すれば治療を行うことができます。一見、売り手と買い手の2者間で価格が決定するということは、資本主義経済では当然のことですが、医療の世界には保険制度というものがあり、普通ではありません。

保険診療の治療費の決定は、この2者間の間に(治療費の7割を支払う)保険者が存在し、更に治療費の設定には国が関与するため、歯科医師や患者さんが独自に取り決められるものではありません。

保険治療に対する治療費は既に決まっており、技量や経費に対する考慮はされていません。つまり、研修医が治療を行ってもベテランで専門性の高い技術をもった医師が治療しても、同一料金で、おまけにその治療費は経験の浅い先生への医療報酬にあわせているような治療費の設定となっています。理由は簡単で、国の医療費としての財源が枯渇しており、高度・複雑化する治療費をまかなえないという現状があるようです。信じられないような話ですが、多くの保険(歯科)治療は、治療すればするほど赤字となるのも事実で、歯科医院の経営を圧迫し、その結果、治療のクオリティの低下につながっています。

そこで、現在の医学・歯学水準から、質の高い診療を行おうとした時に、選択されるのが自由診療ということになります。保険診療では叶えることのできない治療を、材料、技術、時間を歯科医師の思うが侭に費やせ、更に、自己の能力を存分に発揮できる環境が整うことにより、気力をも存分に費やすことができます。

自由診療の代表がインプラント治療ともいえます。インプラント治療は歯学部や歯科大学の教育カリキュラムではほとんど行いません。高学年で「インプラント治療とはこのような治療法です」というような概略の授業がある程度です。歯科医師国家試験では、インプラント治療における臨床知識を問うような出題ななく、かろうじて基礎知識を問う部分での出題が1問程度あるのみです(2007年現在)。つまり、一般的な歯科医師になるための歯科医師国家試験の要求としては、インプラント治療はそれを超えた治療法だといえます。このため、日本中どこの歯科医院でもできて、均一した歯科治療を目指す「保険治療」に、インプラント治療が組み込まれることはないと考えられております。

このような理由から、インプラント治療は高額な自費診療となっており、今後も保険治療で行えないものではないかと思われます。


では、なぜインプラント治療は、1本(歯)30-50万円という高額な治療費になっているのでしょうか?次回は、そこをクローズアップしてみたいと思います。「インプラントの治療費△修瞭睫」へつづく・・・


インプラント ワンピースvsツーピース
インプラントの構造は、大きく分けてワンピースとツーピースに分かれます。詳しい説明はこちらをご覧下さい。

どちらが良くて、どちらが悪いということは無いが、インプラント治療としてスタンダードなのはツーピースインプラントです。理由は、万が一、歯冠部分にトラブルがあった場合、骨の中に埋め込まれている部分と口の中に出ている部分が一体化しているワンピースでは大変な問題となるからです。また、インプラントを埋め込む時に生じる、感染のリスクもワンピースインプラントの方が高まることは言うまでもありません。

では、なぜ、ワンピースインプラントのニーズがあるのでしょうか?理由は明確です。コストを安くできるからです。

一般的に、ツーピースインプラントの治療費は、30-50万円/歯といわれています。一方、手術回数や部品も少なく、また、もともと精度の高さを考えていない(オーダーメイドと既製品の違いと考えるとわかりやすい)ワンピースインプラントであれば、普通の技工士さんが作製することができるので、10-30万円/歯程度で費用はすみます。

しかし、同じインプラントでも、ワンピースとツーピースでは、技術や労力に雲泥の差があり、それが治療費の差になっていることはあまり知られていません。

商用ベースで開発されたワンピースインプラントは利益性を追求する意味では、非常に都合の良いシステムですが、匠の技を追求することが歯科治療の本来の姿でもあると思います。私はそこにこだわりたいと思いますし、世の歯科医師達もそんなこだわりがあるからこそ、ワンピースに飛びつかないのだと思います。目先の利益ではなく、長い目で見た患者さんの利益を第一に考えれば、やはりワンピースインプラントはインプラントのスタンダードになれない、またはなってはいけないものかとつくづく感じます。

▲PAGE TOP

最近のエントリー
RECENT COMMENT
RECENT TRACKBACK
カテゴリー
過去のエントリー
カレンダー
S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< August 2007 >>
ブログ内を検索


LINKS
PROFILE
モバイル
OTHERS