サンフランシスコ学会記 3日目
昨日のワインのせいか,目が3時ころ覚めてしまった。2時間ほど,日本との交信を楽しみ,再び就寝するとなんと9時ちょっと前に目が覚めた。ちなみに部屋の目覚ましは壊れている。

本日のメインイベントは午前中,10時から12時までのポスタープレゼンテーションである。自分のポスターの前に立ち,質問者とディスカッションをしなければならない。今年は場所が悪かったのか会場内の人の入りは少ないように思えた。数人の質問者とディスカッションをしたが大体「素材はなに?」「効果はあるの?」「人ではやっているか?」「どこで作ってて,どうしたら買えるの?」などの質問が多かった。
昼食は学会で出るComplimentary Lunch。これは無料だが,参加登録時に申し込んでおかねばならず,ランチの券がないと中にも入れてもらえない。それを知らなかった大学院生たちのために,それぞれが少し多めにサンドイッチをもらい,みんなで分けた。…戦時中か?

早々に昼食を済ませ,米国の学会の楽しみの一つである企業展示へ向かった。昼食会場と展示場は直ぐ近く。というよりは展示会場の中の一角にランチスペースが設けてある感じだ。

ただ,最近の歯科技術の行き詰まり感を反映してか,画期的で斬新な機器はなかったように思える。1つMILLENNIUMなるところのLANAPが気になったのでショートレクチャーを聞いた。これはポケット内の根面と内縁上皮をレーザーで廓清し,その後に幹細胞と骨補填材(おそらくβ-TCP)を入れ,歯肉辺縁をシールするように再びレーザーを当てる方法だ。天然歯もインプラント(インプラントの場合はLAPIP)もあり得ないくらい骨の回復を示していた。興味を持って聞いてみたが,未だ疑心暗鬼だ。



午後は2:30からDistrict Forumsがある。これは各テーマに会場が別れ,数人の演者が出てきて1つのテーマに対して講演をし,ディスカッションするシンポジウムである。私は「Sinus Therapy: Graft, Space or Biologic?」を聞くことにした。

座長はBobby L. Butler,演者は発表順にStephen Steve Wallace ,Michael Toffler,Scott Froumだ。上顎洞への骨の増生は現在,様々なテクニックとマテリアルがあり,近年では自家骨から,自家骨に代わる骨移植材,生物製剤と成長因子などを応用した移植材などが利用できるようになってきている。このシンポジウムでは,3人の演者がそれぞれの視点で上顎洞拳上術についてエビデンスや症例を提示しながら解説してくれた。

Wallace先生はレビューに近い講演内容で,色々な人の論文を引用あるいは比較しながら上顎洞拳上術の総論を講演した。既存骨が1-5mmの場合は側方開窓し上顎洞の拳上を行うべきだと,また,5-7mmであれば垂直方向から(つまりソケットリフト等),5-9mmであればショートインプラントを検討するというのが一定のプロトコールであろうとまとめていた。

Toffler先生は上顎洞を拳上するための様々な器具を紹介しながらその利点欠点を紹介。バルーンテクニック(小さな風船を上顎洞底と粘膜の間に入れて広げるテクニック)よりもバルーンを設けずに直接生理食塩水を洞底と粘膜の間に流し込む方が圧も一定にかかるので良いと話していた。その器具の中で,面白いと思ったのが,Young’s Dentalの「HPISE Sohn 028 Carbide Piezo Insert」。これはピエゾサージェリに使うチップだが,中空になっており先端から生食が出てくる。これをインプラント埋入窩に入れて,生食に超音波振動を与えながら粘膜に圧力をかけ上顎洞底から剥がしていくそうだ。埋入窩から器具を挿入し慎重に剥がしていく方法より,時間も早く確実に剥がせそうでぜひ使ってみたいと思った。

Froum先生は生物製剤,特にrhPDGF(ヒトリコンビナント血小板由来成長因子),BMP(bone morphogenetic protein: 骨形成蛋白),Stem cell(幹細胞)について講演された。ショッキングだったのは,BMPは高額(6スポンジで5,600ドル)ということより,BMP投与患者が癌でなくなっているとのことであった。詳しい数字は書き取れなかったが,3人ほど亡くなっているとのことであった。TGF-βファミリーであるBMPは,TGF-β と異なり骨の形成を促進することが特徴で,骨形成以外に胎児の初期発生や様々な臓器の機能の維持などの役割を果たしている。しかし,BMP の伝達するシグナルに異常が起こると骨格や血管の異常に加え,がんを引き起こすことが知られているそうだ。どおりで,臨床応用が進まないと思っていたら,高額な治療費以外に癌化のメカニズムと対処が確立していなかったためと理解できた。

 白熱した討論も終え,会場を出ると,知った横顔を見かけた。もしやと思い,二度見すると相手も気づいた。名前は,Leyveeでインディアナの同級生だ。彼女はフィリピンからの留学生で,インディアナの大学院の同期である。彼女と会うのは実にインディアナ以来であるので,15年ぶりということになる。現在はミシガンで働いていて,インディアナで付き合っていた彼と結婚し2児(両方とも娘)の母になっているそうだ。今晩の「インディアナの同窓会」に来るのかと聞かれたので,別の会があるので行けないと話し,その場は別れた。

 今年は国際交流パーティ(International Attendee Reception)なるものがあり参加してみた。この時間,通常のアメリカ人歯科医師たちは,各出身校の同窓会が催され,旧知を温める。しかし,海外からの参加者で米国での留学経験のない人たちはそれぞれ三々五々だ。それを海外からの出席者を一堂に集め,皆さんで旧知を温めるもよし,新たな出会いを求めるもよしと考えたかどうかは不明であるが,そんな会が今年からできた。

 会場は日本のぺリオドンティスト達の錚々たる顔ぶれであった。いつもは仲間内同士で話しているだけだが,海外でしかもぺリオという共通の話題もあり,更に母国語で会話ができるので何だか自然と社交的になる。存じ上げる様々な先生方に挨拶したり講座の若手や同級生を紹介したりして写真なども撮って大いに楽しんだ。

ある先生から,「インディアナの同窓会にいくぞ!」と誘われたので,ホテル5Fにある会場へ向かった。会場には先ほど会った,Leyveeもいた。また,名前は忘れてしまったが,何人かの知った顔に会い挨拶をした。するとSteven Blanchard先生(stblanch@iupui.edu)を紹介された。ブランチャード先生はぺリオの大学院のディレクターで,来年あたりに来日する予定で,東京で少し面倒を見て欲しいとのことであった。

ふと会場内を見渡すとスライドショーをやっている。最近のインディアナの出来事かと思い眺めていたら,なんと自分がインディアナにいた頃の写真が出てきた。懐かしさのあまり夢中で観てしまい何枚かしか写真を撮ることができなかったのが心残りだ。ああいう試みは是非参考にしたいと思った。



続いては,タフツ大学の同窓会にもお邪魔した。タフツ出身の先生にもたくさんの高名な先生がいる。我々がついた時にはお開きになる寸前の写真撮影であったが,何人かの先生を紹介してくれた。台湾の先生で陳柏堅(Bor-Jin Chen)先生といって,現在Chinese Academy of Implant and Esthetic Dentistryの会長だそうだ。その前は台湾歯周病学会の会長なども歴任し,やはり高名な先生とのことであるが,至って気さくな人である。

パーティー後は,ホテルの近所にあった「寿司船」という回転寿司屋へ行った。ここはベルトコンベアではなく,船盛用の船がチェーンにつながっておりその中に寿司が入って回ってくる。我々は,カウンターではなくテーブルに座った。我々は天ぷらうどんを注文し,寿司の盛り合わせをつまみに乾杯!楽しい夜が更けた。
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