水道橋の歯医者さんて先生のところですか?
先日、後輩から「水道橋にある歯医者さんって先生のところですか?」と聞かれた。「まあ、ウチといえばウチだけど・・・なんで?」と聞き返すと、友人が開業をするそうでその参考に院内を見学させて欲しいとのこと。とある歯科業者の方から、是非参考にした方が良い歯科医院ということで、薦められたそうだ。

嬉しい噂に、感謝したいが、いつでも見学は大歓迎なので、回りくどく紹介されなくても、ドンドン見に来てほしい。

以前にも記事として掲載したが、アーク歯科後楽オフィスは、私の自信作である。本院の番町オフィスで培われたノウハウを全て出し切った会心の歯科医院であるので、自信を持って紹介したい。
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木の芽どき
春を間近に感じ,今日のように暖かい日が続くと,木の芽が吹くと同時にトラブルの芽も吹く.医療界では,この季節は要注意であると,よく言われている.特に,歯科診療の場合,心因性の疼痛も出やすく,診断を誤ると悪くない歯を治療または抜歯するということもあり得ない話しではない.十分気をつけて診療にあたらないといけない,要注意な季節である.
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インプラントスペシャル〜後楽オフィス〜
先日,講演会に来てくれた(美人の)後輩から,後楽オフィスを見学したいということで案内をした。後楽オフィスは,練りに練って作った自信作なので,見学したいとの希望は非常に嬉しい限りである。

歯科医院のみならず,事業を起こす時には事業の特化,差別化が重要だと思う。簡単に言うなら“狙い”だ。基幹となる“狙い”をしっかり持つことは,どのような経営学の書にも出ていることであるが,これがなかなか難しい。おまけに,立案した“狙い”を達成させることは更に難しい。インプラント手術用ユニット1
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骨薄いとインプラントできませんか?
某歯科から某大学口腔外科へ渡り歩き、口の中は色々なインプラントが入っている患者さんが来院されたのは、2ヶ月前である。

某歯科では、取りえず入れられるところにインプラントを入れ、難しいところは、日本で最も偏差値の高い私立大学の口腔外科を紹介したそうだ。某大学口腔外科では、状況的に難しいが何とかできそうな、左上だけインプラント治療を行い、右上は骨がないため出来ないと判断され、義歯を装着されたそうだ。
骨薄いインプラント

義歯では不自由で、何とかならないかと、転々としているうちに私のところにたどり着いた。
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インプラントサミット
本日、某インプラント機器機材商社主催のコンベンションが開催され、参加する機会を得た。この某社は、インプラントそのものより関連する様々な機器機材を、特にアイデア商品を多数取り扱っている会社である。

本日の主題は、ピエゾサージェリー。このピエゾサジェリーを開発した、イタリアのペリオドンティスト、トマソ・ヴェルセロッティ(Dr. Tomaso Vercellotti)先生の講演をはじめ、国内の著名な先生による講演会が何題か発表された。

ピエゾサージェリーは簡単に言うと、超音波切削器具による骨手術である。通常行われている、回転器具(ドリルやバー)そしてソウ(ノコギリ)ではなく、より生体に対してダメージが少なく、取り扱いが簡便な器具として、超音波を用いる切削器具が登場した。超音波振動により切削チップを骨に押し当てると、余分な細胞を壊さずに、そして周囲軟組織を傷つけることなく骨を切削することができる。

インプラントの手術にはもちろん、抜歯や歯周外科手術などにも用いることができ、新世代の外科機器である。当然、難点もあるが、その効用の恩恵は計り知れないものがあると思う。

時代は、難しい症例を難しい技術で対応する時代から、より難しい症例を比較的簡単な技術で対応する時代へと移り変わっているようだ。

講演の間あいだに休憩があり、いろいろな方々にお会いした。不思議と後輩が多かった気がする。先輩歯科医師とお会いしたのはたった2人だった。そこにも、時代が移り変わって来ている感覚を覚えた。

さて、沢山の後輩に会い、色々な質問を受けたが、時間も限られた上に、個別での質問だったので十分に答えることができなく残念であった。しかし、何人かの後輩から「HP見て勉強してます!」「ブログ、良く見てます!」との有難い言葉をいただいたので、ここで、(調子に乗り)Q&Aで整理して紹介したいと思う。
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社長交代式
先日,あるインプラントメーカーの社長交代式が,某国大使館で行われた。そのような催しを行う機能を有する大使館にも驚いたが,1企業の社長交代式に,大使館が使用され,さらに大使も参加するというのには驚いた。

この某国は,医療産業での立国を目指すだけあり,医療系企業は格別の待遇なのかと思えるほどの計らいではないだろうか。

60名ほどの錚々たる来賓に,気後れしながら会場で主役達を待った。身の置き場がない待ち時間は妙に長く感じる。

個人的には,創業主の旧社長にもう少し社長業を続けてほしかった。方々の知り合いからも,引退を惜しむ声を良く聞くが,大人しく隠居生活ができるような方ではないので,むしろ社長業という綱が外され,のびのびと本領を発揮できるのではないかとの期待もある。

とにかく,今のこの会社は,旧社長の人間性で成長したと言っても過言ではない。それだけに,引退後の求心力を心配して,ある営業マンに聞いてみたが,「まあ,今までも私達が社を切り盛りしてきたので,社長はいなくても大丈夫です」とあっけなく言われた。

私は,ひどく感銘した。1社員が「私が社を支えている」という会社は強い。

この言葉を聞き,山本常朝の葉隠を思い出した。葉隠とは,ご存知「武士道とは死ぬことと見つけたり・・・」が有名な句だが,この句以外にも様々な教えがある。中でも、私が影響を受けているのが次の一節である。「・・・御家を一人にして荷ひ申す志出来申す迄に候。・・・」これは、一介の家臣も、時にはお家を一人で背負っているという自負が無ければいけないという意味だが、お家を職場と置き換え、それを一人で支える覚悟を、そこで働いている者は持つものだと私は解釈している。

まさに,そのような社員がいる会社は強い。現に,インプラントの業界では後発であるこの会社は,見る見るうちに急成長し,今や国内では最もユーザーの多いインプラントメーカーとなっている。もちろん,製品が良いという絶対条件があってのことだが,社長以下社員の気概の賜物ではないだろうか。

新社長の今後の舵取りに心配したが,取り越し苦労であったようだ・・・
夢中になれる仕事
先日,ある患者さん(M氏)から,是非紹介したい人がいるので診てもらいたいという電話をいただいた。

その紹介してくれたM氏もなかなか手ごわい症例で,足掛け3年ぐらいの治療期間を要し,なかなか楽しい症例でした。そのM氏が,是非というので少々楽しみにしていたが,期待を裏切らず,しばらく夢中になれそうな症例で,わくわくしている。
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インパクトファクターとページランク
医学は自然科学の一分野であり,当然専門誌への論文投稿も,医師としての仕事の一部である。

この論文,価値あるものかどうかの判断を示すのが,インパクトファクター (impact factor, IF)なるものである。インパクトファクターは,自然科学や社会科学の学術雑誌を対象に,その雑誌の影響度を示す指標である。ユージン・ガーフィールド (Eugene Garfield) が1955年に考案したもので,現在は毎年トムソン・サイエンティフィック(旧 ISI)の引用文献データベース Web of Science に収録されるデータを元に算出している。対象となる雑誌は自然科学5,900誌、社会科学1,700誌であるとされている。本来,インパクトファクターは Web of Science に収録された雑誌のなかの論文に対する平均引用回数であるが,転じて,雑誌の価値を定めている。研究者がそのIFを持つ雑誌に投稿し,掲載されれば,○○点という数字を利用することになる。
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一仕事終えて・・・感謝・・・
先日,昨年9月に記事(小さな入れ歯)にした女性の治療が終了した。

結局,上の歯1本,下の歯2本のみしか残すことができなかったが,インプラントを上に4本,下に4本入れ,入れ歯タイプのインプラントを作製した。

あごの骨がやせてしまっており,治療前から入れ歯に対して強い不安を抱いていた。金属製の入れ歯は調整しにくく,治療途中は何度も何度も調整を繰り返して,随分と我慢をしていただいた。
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ブログ読者から患者へ
先日,ちょっとうれしいことがあった。

このブログを読んで,「この先生だ!」と思って,来院されていろいろ話しをさせていただいた後,「やっと理想的な歯医者に巡り会えました・・・」と言って頂いた。

私としては,ごく普通の治療方針と計画を話したつもりであったが,迷いに迷った数年の歯科医院巡りにピリオドを打つことができたことは,うれしい限りである。
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インプラントトラブル対応も増加中
当然といえば当然だが、インプラント治療を行う歯科医院が増え、症例数が増えれば、それに伴うトラブルも増加する。

以前は、ブレード型インプラントと呼ばれる板状のインプラントに対するトラブルがほとんどであった。さすがにブレード型インプラントのトラブルも一段落してきたところか?代わって、歯根型インプラントのトラブルが増えてきている。

圧倒的に多いのが、上部構造体(歯冠部分)の再製である。基本的に、施術した歯科医院で対応をしてもらうように薦めているが、その歯科医院に相談できるなら、回りまわって私のところにたどり着くようなことはない。

施術した歯科医院が閉院してしまった、患者さんが引越しのため元の歯科医院に通えなくなった、そして施術した歯科医院に通いたくないなどの理由が主であるが、圧倒的に最後の理由が多い。
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安物買いの銭失い?
先日、紹介である患者さんが来院された。

私の所に来るまで、8件ぐらいの歯科医院を回りまわって辿り着いたということだ。

話すと非常に長いので、主要な歯科医院を5つだけあげ経緯を説明したいと思います。
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後楽オフィス開業1周年記念キャンペーン猝砧CT撮影
遅ればせながら・・・アーク歯科クリニック後楽オフィスでは、7月12日をもって、開業1年を迎えることができました。

後楽オフィスでは、インプラント治療をより強力にサポートするCTを導入し、今日までに多くの皆様に利用していただきました。国内初のパノラマCTは、低X線被曝量、高解像度を実現し、簡単に顎骨内の状況を鮮明に知ることができます。

この、優れたインプラント診断ツールを、是非皆様に体験していただこうと、現在、無料キャンペーンを行っております。

キャンペーンは8月13日までとなっておりますので、是非、この機会に、気になるところをCTで見てみては如何でしょうか?

詳しくは、こちらをご覧下さい。
インプラント手術で事故 ーその後ー
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インプラント手術で死亡 遺族が歯科医院側を提訴

 東京都中央区の歯科医院で昨年5月、人工歯根を埋め込む「インプラント手術」を受けた女性=当時(70)=が手術中に大量出血し死亡した事件で、女性の遺族4人が歯科医院と男性院長を相手取り、約1億9000万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こしていたことが25日、分かった。一方、警視庁は業務上過失致死容疑での立件に向け、詰めの捜査を進めている。

 インプラントは、歯茎からドリルで穴を開けてあごの骨に人工歯根を埋め込み、人工歯根に義歯を装着する外科手術。入れ歯に比べてかみ合わせがよく、見た目がきれいなことなどから、利用者が増えている。院長は、国内のインプラント手術の先駆者として知られる。

 訴状などによると、女性は昨年5月22日、手術中に出血が止まらなくなり容体が急変。近くの総合病院に搬送されたが、すでに心肺停止状態で、翌23日に死亡した。司法解剖の結果、死因は口腔(こうこう)内の出血などによる窒息死と判明。ドリルであごの骨を貫通し、動脈を切断、大量出血していた。

 遺族によると、院長は当日は体調不良だったといい、手術ミスを認めているが、和解に向けた話し合いが進展していない。遺族は「手術は、体調が万全な状態で行うべきだ。その後の対応にも誠意が感じられない」と話している。

 歯科医院側は「訴状を見てから考えたい」としている。

産経ニュース(2008.6.26 01:38)
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*注:ニュース記事中の「口腔(こうこう)」は、記者の誤りで、正しくは「口腔(こうくう)」と読む


奇しくも、このブログの第一号記事はこのニュースを聞いて書き始めた経緯もあり、再び、社会と歯科界を騒がしている、本件について、歯科医師側からの意見を述べたい。
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夏休みにインプラントは如何ですか?
今日も東京は暑いです。昨日のニュースも猛暑一色でしたが、基本的に夏は暑いに限る!

メリハリの利いた四季は、情緒豊かな日本の文化を育みました。

さて、皆さんの夏の予定は如何でしょうか?暑い夏は人々の活動も熱くするらしく、暑い夏と寒い冬は経済効果が高く、低迷する日本経済にも多少のカンフルになるとか・・・?
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休日のインプラント
先日、自分の体調の件で気になることがあったので、病院に行った。歳はとりたくないものであるが自然の摂理には適わない。

大したことないことであったが、保険証を使う機会も滅多に無いので、時には診察される側の気持ちになってみようと、ふらりと近くの病院に行ってみた。初診は2時間半ほど待たされたのは、ある程度覚悟の上であったが、検査結果を聞くために、再診にて来院した際は予約にもかわらず1時間半待たされた。

初診の時も、再診の時も予想外に時間がかかり、自分の仕事を変更した・・・

結論から言えば、病院があのような状態では、助かる命も助からない。

病院に行けば、待たされるのではないかと心配になる。待たされない病院に行くのはもっと心配だ。

結局、今の日本の現状として、働き盛りの人間はきちんとした医療を受けられないような構図があると感じた。

病院での診察内容も、疑問だ。2時間も待たされた挙句、「じゃあ検査してみましょう」で終わり。再診に至っては、「大丈夫ですね。気になるようなら時間を置いて再検査してください。」で終わり。

同じ医療を行う者として、状況は理解できるし、仕方ない理由も分かるが、あまりにも医療が医師(病院)側の都合になりすぎていると感じた。

私は、短い診察時間や安い医療費を希望していたわけではなく、キチンと診察して、とことん調べて欲しかった。急性症状があったわけではないので、予約を取るために順番を待つし、それ相当の医療費を払っても良いとも思っていたのだが、ベルトコンベア式の診察しか受けることが出来なかった。

ニーズに対応できない医療機関も問題があると強く感じた。

そこで、自分達の医院に照らし合わせ、自分達にも何か改善点はないか?するべきことはないか?を考えてみた。

今回の私の例のように、予約を取り、休日にゆっくりと診て欲しい、治療をして欲しいというニーズがあるのではないか。特に緊急性のない治療である、インプラント治療は、休日にじっくりゆっくり診て欲しいと考える方々が多いのではないかと思った。

幸い当院では、医院コンセプトに「通いつづけてもらえる医院を目指し」を掲げ、当院では医療を受ける側の立場から、医院作りを心がけている。その中でも、夜間診療と休日診療は、開業当初から、変わらぬ形態を維持しており、皆様からもご支持いただいている。

しかし、ニーズと受入体制はあるがそれを結ぶ、明確なラインが存在しなくては、医療ニーズを実現することはできないと考え、明確に「休日のインプラント」を提示し、積極的なキャンペーンを行うことを企画した。

多様な医療ニーズに対し、細心の配慮と最新の技術で対応するのも、また、当院の医療コンセプトの一つである。
久々の悪戦苦闘
先日、インプラントの大家でブログに掲載したが、その方の3本のインプラントの2次手術を行った。

日本でインプラントを行う歯科医師は、その先生の名前を知らない人はいないほど高名な先生により、そのインプラントは1992年ごろ行われた。その後順調であったが、3年前ほどに、上部構造体(冠)が脱落。なじみの近医にて見てもらったところ、手が付けられないということで放置されたということであった。X線の結果から、フィクスチャ(骨内に埋め込まれるチタン製のネジ)にはカバースクリュ(フィクスチャのインターフェイスを塞ぐキャップネジ)が装着されていない。フィクスチャは適度に歯肉に被覆され、腫脹と自壊を繰り返しているようだ。

使用されているインプラントシステムはブローネマルクシステムで、極めてノーマル。おまけに執刀医からのサイズの情報提供も受けており、イージーケースと、2次手術(頭出し手術)を行った。

しかし開けて見てビックリ。フィクスチャのインターフェイスには、何か得体の知れない灰色の物質が詰まっていた。おまけに、8番相当部(親知らず)に埋めこまれた1本のフィクスチャはどうやら最初からスリーピングになっているようだ。スリーピングとは、フィクスチャを埋めるだけ埋め、使用しないことを言う。方向が明らかに悪く、保険的に埋入したものの、使用するには難しいと判断したのだろう。

さて、この未知の物体“グレー”触ってみると、1本は柔らかく、もう一本は硬い。柔らかいほうは、探針にて取り除くことは容易で、シリコーン系の印象材か何かだと推測できた。しかし、もう一本の方は硬く、探針で引っかいてもびくともしない。マイクロスコープ下で超音波スケーラーを用い、慎重に格闘すること1時間、やっとの思いで、セメントらしき物体“グレー”を取り除いた。気分は爆弾処理班。

フィクスチャ内部にはアバットメント(土台)を接合させる雌部のネジがある。ネジ穴を塞いでいるセメントを取り除くのは良いが、その結果、ネジ山を壊してしまっては、アバットメントを接合できなくなる。フィクスチャのインターフェイスを壊してしまえば、セメントにより閉鎖されたフィクスチャと同様、骨内から摘出をしなくてはならなくなる。

フィクスチャ摘出となれば、患者さんにとって、時間、労力、費用全てが無駄になり、しかも術後の不快事項も大きくなる。

3年前に行かれた、なんじみの歯科医院では、良かれと思いそのようなセメントの流込みを行ったのであろうが、是非、対処する次の人のことまで考えていただけたら、私も、患者さんも苦労しなくて済んだのだが・・・
インプラントセルフケア用品
現在、某メーカーからの依頼により、インプラント治療におけるセルフケア用品の開発に、当院の歯科衛生士とともに協力している。

インプラント治療は、最長で50年近い臨床例があり、現在、インプラント治療の寿命は、ほぼ、人の寿命と同じと考えて良いとのコンセンサスが得られようとしている。つまり、インプラント単体で考えた時に、インプラントの耐久性はほぼ一生だということである。

しかし実際は、人の寿命にも差があるように、インプラントの寿命にも差があり、それを左右するのも、人の寿命を左右するのと同様、疾患とアクシデントである。

アクシデントは別として、疾患は予防することが出来ることが多い。

特に、インプラントに起きる疾患、「インプラント周囲炎」を防ぐには、歯と同じく、歯ブラシが重要である。

インプラントの場合、その構造上、歯と歯グキの境目あたりがくびれていることが、通常の歯ブラシと違い気をつける点である。

このあたりの、汚れを丁寧に落とすことが、インプラント治療後の歯ブラシのポイントである。それには、通常の歯ブラシ以外に、(インプラント用)歯間ブラシやタフトブラシ(小さな毛束だけの歯ブラシ)などを私は推奨している。

また、患者さん自身が簡単にセルフケアできるような構造にすることも重要であると思える。インプラントにかぶせる冠のつなぎ目は、歯グキの境目にくるので、この精度と素材は非常に重要である。

一般的に細菌の大きさは0.1μ〜3μ程度の大きさであるので、つなぎ目の精度は肉眼的に合っている程度では、細菌にとっては良い棲み処となってしまうことがある。隙間は限りなく少なく、理想を言えば0μであることが望ましいが、インプラントに冠をセメントでつける方式では、セメント分の浮き上がりを考慮して30μ程度隙間を故意にあける。セメントは溶けたり、また、余分にはみ出て残ったりするので、最も重要な場所(歯グキの境目)が最も汚れてしまうということになる。

そのような、欠点をカバーするのがネジ式の留め方である。私は基本的に横からのネジ止め(舌側サイドスクリュー方式)を用いているが、このネジ止めは技術的に高度の技術を要するため、製作出来る技工士が極めて少ない。セメントによる誤魔化しが出来ないので、寸分の誤差も許されず、神業ともいえる高度な技術が必要となる。

但し、超精密な冠を作って、ネジ止めにしたとしても、汚れが付きにくいだけであって、汚れが付かないわけではない。

僅かにでも付いてくる汚れを、患者さん自身が毎日キチンとお手入れする必要性はある。

そのような意味からも、インプラント治療後のセルフケアは非常に重要で、インプラント治療の成否や寿命に大きく関与するといっても過言ではない。また、そのグッズを上手に使いこなせるように、トレーニングすることも同じく重要で、その道のプロフェッショナルである歯科衛生士の存在も非常に重要である。

是非、優れたセルフケア用品を、当院の衛生士と共に提案していきたいと考えている。

インプラント治療の大家
先日、紹介で某食品会社の会長さんが来院された。

下の奥歯にインプラントが入っているが、数年前にかぶせていたものが脱落し、その後、別の歯科医院で治療を試みたが、手に負えず、結局放置されているということであった。

お忙しい方らしく、また、私の都合もあり、予約がなかなか合わず予約が先になってしまったので、その紹介者経由で、インプラントを施術した歯科医院に、埋め込んだインプラントのメーカーとサイズを聞いておいて欲しいと連絡していただき、来院される日を待った。

秘書の方が、スケジュールだけではなく健康管理も行っているのには少々驚いた。某国大使夫人でも、身辺の警備とスケジュールの管理ぐらいであったが、さすが一流企業の会長となると秘書が健康管理も行うものかと、妙に感心させられた。

秘書の方より、そのインプラントのデータが記載されたFAX用紙を受け取って、また驚いた。なんと、そのインプラントを施術したのは、日本でインプラントを広めた第一人者である、○○○先生であった。1992年頃といえば、まだ、インプラントはごく限られた先生しか行っていない頃であったが、インプラントの大家である○○○先生であれば、初めてのケースというわけではあるまい。

しかし、どう見ても、施術はビギナーである。それを知ってか、知らずか、そのFAXには、「このインプラントは、○○□□××・・・・・インプラントセンターの○○○先生が行っております」と、警告文のような言葉が記載されていた。名前に意味があるのであろうか?誰が行ったインプラントなど、意味は無く、X線写真が全てを物語ってくれるというものだ。

100症例のうち99症例が良くても、1症例悪ければ、その1症例は、自院ではなく他院や他のドクターに回ることになる。悪事千里を走る。自分も他人事ではなく、1症例1症例、大事に施術せねばと、気を引き締める良い教訓になった。
インプラント舌側サイドスクリュー
昨日、来院された患者さんは去年の12月に1次手術を終え、来月2次手術を予定している。

上部構造体の最終確認のため、見積もりを差し上げた。その中で、「この、舌側サイドスクリューってなんですか?」と聞かれたのでご説明申し上げた。

さて、インプラント構造を少し復習しましょう。インプラントには主にワンピースとツーピースがあります。
インプラントの構造

通常、特別な理由が無い限りツーピース構造となっているインプラントを用います。理由は、確実性と自由度の高さから、ワンピースを遥かにしのぐメリットがあるからです。ワンピースのメリットは、術式が簡単でビギナーでもある程度のインプラントができ、コストがかからない(ツーピースの半分〜1/3程度)ということですが、多くの歯科医師は簡単で安いというメリットを、絶対的なメリットとは感じていないために、ワンピースのディメリットから、ワンピースは用いない。

そして、インプラント治療において、患者さんが目にすることの出来る上部構造を装着する方法だが、これにも2種類の方法がある。

インプラントの装着方式
一般的にはセメントで合着する、セメント方式が用いられるが、私は、ネジでとめるスクリュー方式を採用している。理由は、ネジ止めであれば、術者が希望する時に簡単にはずせ、後のメインテナンスに非常に便利である。また、セメントを使わないので、理論上、外冠とアバットメント(内部の心棒)の隙間を0レベルに出来る。
インプラントセメント方式とスクリュー方式
セメント方式では、必ずセメント分の厚さができてしまい、そこにはセメントの取り残しやギャップによるプラーク(歯垢)の停滞を招く原因になる。インプラントもプラークが付着するので、歯周病様の病気になることがある。よって、スクリュー方式が理論上、最も優れた上部構造の装着方法であるが、一般的でない理由が多々ある。最も大きなハードルは技術的に非常に難しいと言う点だ。術者の配慮と技工士の神業ともいえる技術、そして患者さんの時間が必要となる。

理論上誤差を0レベルにするということは、口で言うのは簡単だが、これが大変難しい。型取り材料や石膏模型材、金属の収縮や膨張など全ての誤差を微調整しながらの手仕事には、非常に多くの労力と時間を要する。直径1mm、長さ3mm程度のチタン製サイドスクリュー1本だけでも原価で1万円する。何でもF1マシーンに使われているネジだそうだ。場合によるとワンピースインプラント1本より高価である。

そして、技術的に高度なものは当然、コストがかさむ。技術レベルの高い技工士の技工料金は当然高い。時間もかかる。よって、型取りをして完成するまでに最短で1ヶ月を要することが常である。

常に本物にこだわり、最高のものを施術するのが、歯科医師としてのプライドでもあるので、暫くはこのシステムを変えないつもりだが、それには多くの人々のバックアップあってのことだと思う。是非、皆様の理解をいただけたら幸いと思う今日この頃である。

インプラントとSEO(SEM) 再び
SEMと聞くと、我々は走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope)だが、最近ではSearch Engine Marketingになるようだ。

実際、Yahoo!で検索すると、スポンサーサイト以外に、電子顕微鏡の文字を見ることは無い。

完全に、電顕なる言葉を駆逐してしまっており、新たな言葉が古くからの言葉を凌駕してしまっている典型例であろう。インターネットの登場により、言葉の変化も高速化した。

私の患者さんの一人で、ある企業の社長さんがいる。随分前から通って頂いており、今は退職され、一線からは退いているが、その方から興味深い話を聞かされた。

その方は、非常に多くの患者さんを私に紹介してくれた方だが、その紹介する際のエピソードというか傾向についてである。自分の部下や関連企業の同じような地位の人は、その人から私を紹介すると、2つ返事で来院すると言うそうだが、そうでない人は、まずはホームページを探し、その内容を見てから来院するとなるそうだ。

ホームページの探し方も様々であるようだが、ほとんどの人たちは、歯科医院や歯科医師名または治療名は覚えやすいので、その言葉を頼りに検索する。すると、当時は、医院名を入れてもトップにあがってこないという状態のHPであったので、当然、検索者達はインターネットの大海で漂流することになり、最終的には治療名で検索し、いろいろなHPを見て、紹介されたイメージと合致する歯科医院へ来院するということがあるそうだ。

当院のHPは、今でこそそのようなことは無いが、サーチエンジンフレンドリーなどとは随分かけ離れたものであり、結果、迷惑不便をおかけすることになっていたと反省している。

結局、その紹介者との結びつきが強ければ、ネットで検索するより、日ごろの信用が私への信頼に変わるようだが、それほど結びつきが強いわけではない人は、ネットで検索するほうが良いと言う事になるのだと、聞かされた。

そういえば、以前は、看板も無かった。HPも集客効果を狙ってと言うよりは、歯科医療従事者のための勉強会用に症例提示を主としていた。当然、紹介を受けた方々は、医院の前を通過してしまい、当院のHPを探しているうちに漂流してしまう。これではいけないと、看板も小さいが付け、HPもサーチエンジンフレンドリーのものに仕立て直した。

今はそこそこ、患者サービスに則した看板とHPになっているが、いかがであろうか・・・
ネガティブキャンペーン
一昔前、米国内のペプシのCMであからさまにコカ・コーラを比較対象としたCFがあった。内容は覚えていないが、ユーモラスに皮肉ったシナリオは、微妙絶妙とも意見が分かれるような内容であったと記憶している。

問題は、そのCMを日本国内でそのまま流すことだ。当然、そのまま日本のお茶の間に流れることはなく、オブラートに包んだ内容となった。日本の法律または慣例で、比較広告は禁止されている。CMの中で比較する際には、必ず自社製品との比較としている。

米国内では比較広告どころか、ネガティブキャンペーンなることが、時々行われる。不買活動などがその典型例であろうか。20年も前の話であるが、日本の自動車メーカーは、日本人からしてみればいわれのない攻撃を受けた。日本車というだけで、銃撃を受けたり、マスコミの前で、日の丸と日本車を焼かれた。

未だに、そのようなネガティブキャンペーンは理解に苦しむのが日本人の感覚であろうが、世界は確実に相手の弱点を合法非合法問わず突いてくる。非合法であれば、合法になるようなルールを作ってしまうのが、世界だ。

ここ数年の歯科業界にもそのような現象を見ることが出来る。

特にドックイヤー(いやマウスイヤーか?)といわれるインプラント業界では、その動きが激しい。

7、8年間程前、業界で最大手・最古参のブローネマルクシステムズがステリオス社を吸収合併し、ノーベルバイオケア社となった。そのあたりを機に、国内でステリオスを輸入販売していたY社は急速にインプラントの販売に支障をきたすようになったと感じた。Y社の担当者は吸収合併後もノーベルバイオケア社の製品を扱いますので、引き続き宜しくお願いしますと言っていたが、合併後の生産ライン見直しにより様々な部品が突然廃止になり、担当者もユーザーも大変苦労した。担当者からは、他のユーザーのため、私がストックしていた部品を譲ってくれないかと何度か頼まれたこともある。今ではY社のインプラントの取扱いはなくなって、ノーベルバイオケア・ジャパンが行っている。

結局、ステリオスは消滅した。ブローネマルクシステムズはノーベルバイオケア社に改名し、ブローネマルクとリプレイス(ステリオス)のラインアップとなったが、今ではリプレイスのインターナルコネクトバージョンである、セレクトが主流となっている。自社のブローネマルクシステムではなく、ステリオスの流れであるセレクトが今後の主力製品になっていくそうだが、見事にステリオスのエッセンスを吸収し、進化させノーベルバイオケア社としての主軸にしてしまうところが、実に狩猟民族的だ。

当時、ステリオスユーザーだった私がこの時学んだのは、全てのインプラントメーカーはユーザーや患者のことを考えていないということだった。誰だったか、経済学者(高名な経済学者だったと思う)が言うように、企業は企業利益を追求する。当然だ。であるならば、「ユーザーや患者のことを考えていない」と、嘆き、遠くのほうから吠えるより、企業が目指す企業利益と我々が目指す利益が同じベクトルを目指すのが良いだろうと思った。

ただ、問題なのは、我々歯科医師の目指す利益は2つに分けられる。一つは企業利益とも言うべき、医院利益であり、もう1つは患者利益である。見分けは難しい。企業利益を追求する会社も、「お客様のために」「お客様は神様です」という。

どこを目指すかは、各ユーザーが考えればいいことであるが、私は断固、患者利益を追求するべきだと思う。患者利益を追求した結果、医院利益が生じるもので、医院利益を達成するために患者がいるわけではないから当然だ。

そういう観点から、新規にインプラント始める先生には、助言をさせてもらうようにしている。

少し前に、インプラントのメーカー選びについて書いたが、インプラントを行う先生の最初の悩みは、その採用メーカー選びのようだ。

是非、「患者さんにとってインプラントは一生ものであること」を念頭におき、慎重に採用メーカーを選び、インプラントについて学び、技術の修練に励んでいただきたいと思う。
仮歯で紅白2回
名古屋の有名な先生から、ある人がインプラントで非常に困っているので診て欲しいとの紹介を受けたのは、今から4,5年前のことである。

VIPだということで、紹介を受け、お会いしたらなるほど、VIPであった。何でも、大阪の有名な歯医者さんでインプラントを受けたがあちこち調子悪く、痛くて食事も出来ないとの事で、その先生のところに相談にいらしたそうだ。

基本的に芸能人の方々は忙しいが、大御所であればあるほど、スケジュールを自分でコントロールすることが可能なようだ。しばらくは、治療優先にとのことで、2年がかりで治療をすることになった。患者さんとしても非常に優秀な方で、セルフケアの重要性もよく認識していただき、また、治療にもこまめに通っていただけた。

インプラントのみならず、通常治療も含め、数名の歯科医師を抜擢し、チームを組む。基本的に私は、根管治療を行わないので、腕の良い根管治療を行ってくれる歯科医師を選んだ。

インプラント治療で最も困ったのは、使われていたインプラントである。レントゲンからほとんどのインプラントの区別はつくが、判別以前に愕然とした。以前のブログにも少々触れたことがあったと思うが、流通性の低いというより、あるグループが独自に開発したインプラントであった。しかも、ワンピースインプラントである。

簡単に抜けてしまった、インプラントはまだ良いが、中途半端に残ったインプラントを工夫して残し、使っていくには私だけではなく、患者さんも大変苦労した。

その患者さんには、職業上、絶対仮歯は嫌だと最初に言われた。

私のポリシーは、例えアメリカ大統領であろうと、稲川会の頭であろうと、出来ない仕事は引き受けない。仮歯に変えさせてもらえなければ、治療が出来ないので、一旦は断ろうとも思ったが、仮歯で不自由はさせないと説得し、治療を開始させてもらった。

基本的に私の専門は歯周病治療である。歯周病の治療は、簡単に言うと口の中のリフォームだ。然るに、古い冠や詰め物を全て取り外し、仮歯に変え根気強く口の中の環境整備をしていく。歯周病治療の中で、最も治療に長い時間を費やすのは仮歯作りだということも良くある。

当然、仮歯作りが得意になるのはあたり前田のクラッカーで、このケースについてもかなりの自信があった。上顎はほぼ全て、下顎は前歯部全てと臼歯部の一部を仮歯に変え治療を行った。

結果は、大満足していただいた。いやむしろ、仮歯は軽く、色や形の修正が容易で、患者ニーズに即座に対応できるため、仮歯のままで居たいと何度か言われたぐらいだった。

仮歯で紅白にも2度出ていただいた。もちろん、誰も気づかない。生放送の紅白で、仮歯が外れたら歯医者を辞めるぐらいの覚悟をしていた。大げさだが、そのくらい内心、自信があった。

以来、心配性な患者さんに、仮歯だと見栄えが悪かったり、すぐ取れたりしませんか?と必要以上に懸念される場合には、「大丈夫。仮歯で紅白に2回出た人がいますから、紅白に出るほどのことはないでしょ?」と説得すると、皆、笑いながら安心してくれる。

良い、説得の口実が出来て、私も別の意味でも仕事をさせていただいて感謝している。
脱!入れ歯!
今年は、そう決めて新年を迎えたそうだ。

本日来院されオペをした患者さんは、30代の男性。年齢の割には歯周病がひどく、合計で8本のインプラントを入れる計画を立て、本日第一弾のオペを行った。

スタートは、一番難しくまた時間がかかりそうな、上顎臼歯部を選択した。上顎洞(副鼻腔)までの距離が5〜8mmと十分でなく、ソケットリフトを併用してのオペであった。所要時間は30分とスムースにオペが終わりCTの撮影が終わると、患者さんから「えらく、簡単で本当にインプラントしたんですか?」とのお褒め(?)の言葉を頂いた。早くて当たり前。ソケットリフトは私の18番だ・・・と思っている・・・^_^;

インプラント先端にきれいにドーム状に盛り上がったCTを観ながら説明すると、ただただ感心してくれて、逆に恐縮するほどであった。終わった途端に、別の部位の手術が待ち遠しいと言う。ちょっと変わった患者さんだとも思いながら、焦らず、今日のオペ部位の経過を追いながら、別のインプラントは日程を考えましょうと伝えた。

非常に前向きな患者さんの手術は、こちらも前向きになれて、気持ちよく出来る。然るに、スムースなオペとなり、手際よく物事が運んだのであろう。

やはり、何よりも、患者さんの喜ぶ笑顔を見られるのが、歯医者冥利に尽きるというものだ。細かいことは抜きに(いや、歯医者で細かいことを抜きには考えられないか??)、生まれ変わってもまた歯科医師になりたいと思う瞬間である。
ドクターショッピング
ちょくちょくとドクターを変え、医院を渡り歩く現象をこう呼ぶが、度が過ぎるとお互いの時間の無駄となるようだ。

先日、「先生お久しぶりです。前歯のインプラント、知り合いの衛生士さんが安くやってあげるからって、歯医者さん紹介してくれるんですが、そっちで続きやってもらってもいいですか?」との電話があった。

その患者さんは2年ほど前に、前歯の破折のため、1本を抜去。即時にインプラントを埋入し、今に至っている。

元々、ある先生から紹介を受けた経緯もあり、特別の配慮をしていたつもりであったが、2次手術以降の処置費用の工面が出来なくなったとのことで、治療は中断していた。何でも、夏に海外旅行に行ってしまい、それで治療費を使ってしまったということであった。

そんな彼女から、あっけらかんとした電話があったのは、1次手術後2年も経過した先日である。2次手術以降を別の歯科医院へ託すのは、特に問題は無いが、難しいのは治療に対する責任の所在である。提携の取れていない歯科医院では、お互い不安であろう。患者さんは軽く考えてのことであったので、事例を挙げて説明し、一度、その担当となる先生とよく話しをすることを薦めた。

すると、数日経って、「器具がないので2次手術は、そちらでやってもらえますか?」とのことであった。話の内容を聞くも、今一、理解していない。患者さん曰く、その歯科医院では2次手術を行う際に用いるドライバーが無いらしいが、型取りの時に用いるドライバーはあるらしいので、2次手術は出来なく、型取りからできるそうだ。2次手術で用いるドライバーも型取り時に用いるドライバーも同じものであるはずなのに・・・である。まったく話がかみ合わないので、担当となる先生から、書面または直接お電話をいただけるように、患者さんに伝えた。

その後、すぐに患者さんから電話があり、何とか治療費の工面が出来そうなので、私のところでやって欲しいとの連絡があった。今までの話の経緯から、その紹介で行った歯科医院の先生も手を焼いている様子が想像でき、断られたのだろうと思った。

そんな折、どういう行き違いか、その紹介先の先生から私の元へ、電話があった。実はその先生、インプラント治療はするのだが、あまり経験が無く、ほとんど他院へ依頼しているそうで、今回のケースも、ほとほと依頼を受けて困っているそうだ。

自院の衛生士さんに頼まれ、軽く請け負ったが、患者さんと話すにつれ、あまりにも一方的な要求が二転三転するそうで、出来ることなら、私のほうで全て行うように話をしてもらえないかとのことであった。そもそも、1次手術をしたのは私なので、それは道理から言っても私が行わなければいけない仕事である。なるべく患者さんにはこちらで処置をしてもらえるように促しますとのことで、電話を切った。

インプラント治療は確かに高額な治療費がかかる。しかし、必ず着手する前に、総額での見積もりをお話して、納得の上で着手したはずであるが、このような結果になってしまった。

ドクターの計画性の無さも戒めるられるべきであるが、患者さん自身の計画性の無さも戒めるられるべきである。症例は患者さんだけのものではない。責任を共有する、我々歯科医師のものでもあることを、少しは理解していただけるとありがたい・・・。

インプラントメーカーの選択
どのメーカーを使ったらいいでしょうか?と時々、人から聞かれる。

私は迷わず、アストラ(アストラテックインプラント)かノーベル(ノーベル・バイオケア)の2社を薦める。その他にも、ストローマン(ITI)や3i、デンツプライ(フリアデントやアンキロス)、Zimmer(カルシテック)などもいいだろう。何を使ってもいいと思うが、決して国産は薦めない。

私は国粋主義者とも思えるぐらい、日本を愛してやまないが、インプラントメーカーにおいては、国産は薦めない。理由は以下の通りである。

先日、ショッキングな話を聞いた。インプラント国産メーカーの某A社の社長以下7名が、詐欺(?)で逮捕されたそうだ。インプラント以外にも医療機器の製造販売をしているそうだが、補聴器の販売で何かあったようである。おそらく、そのA社は廃業になるとのことで、そのA社を利用していた先生方はどうするのかと、お節介ながら心配になった。しかし、先生方はまだよい。システムを変更するだけだから、損害は金銭で解決するが、そんなインプラントを埋め込まれてしまった患者さんは悲惨としか思えない。

どこのメーカーでも、会社が倒産してしまうというリスクがある。特に、インプラント治療においては、倒産までなくとも、事業縮小や生産ラインの見直しで部品を扱わなくなることもある。

そのようなことからも、経営母体がしっかりしたメーカーを選び、この業界では伝統のあるメーカーの方が、いい加減なことをせずに信頼できる。

もちろん、研究データの豊富なメーカーが良いに決まっている。その点でも、国産メーカーの研究データは極端に少ない。他社のデータを都合よく流用して、もっともらしいインプラントに仕立てあげているが、臨床報告すらほとんど無いメーカーもある。

このような状態に陥っている理由は簡単で、研究費と、ユーザーの問題だ。滑沢な研究費が無いのは仕方ないが、ユーザーの問題は悪循環になっているようだ。鶏が先か卵が先かの話になってしまうが、国産メーカーのユーザーには学会発表する先生が少ない。特に国際学会では、国産メーカーのインプラントを使用した研究や症例報告は皆無である。国産メーカーも、自社のインプラントをきちんと評価して、広めてくれるユーザーを確保できず、営利主義のユーザーばかり集めてしまった報いがこのような悪循環を引き起こしている。

このような理由から、決して国産メーカーを薦めることはできない。

ふと、そのメーカーを使用して「低価格、一生保証」をキャッチコピーにインプラント治療を行っていた先生のことを思い出した。自費出版などもして、最近、第2版を出版して営業に勤しんでいたところにこの事態では、残るのは先行投資の自費出版費となってしまう。

使用していたメーカーが廃業してしまったのでは、先生がいくら頑張っても低価格で一生保証を達成することはできない。

先生も患者さんも途方にくれるしかない・・・
インプラント最新&細心事情 その2
船登先生といえば、4−Dコンセプトである。4−D、つまり3Dプラス1で、1は時間軸を意味する。

インプラント治療において、埋入位置をレントゲン写真上から決定する2次元(2D)、CT上から位置を決定する3D・・・そしてそれに時間を考慮する4Dが必要だというのが船登先生の理論である。

時期を見極め、時期を待つという考えは、江戸幕府三百年の礎を築いた徳川家康の生き方に似ている。

世の歯科医師が、インプラント治療に即時性を求めることに傾倒している昨今、時期を待ち適切なタイミングを根気強く待つには治療に対する相当な自信が必要だと思う。時間をかけ、待ちに待った挙句、お粗末な治療結果では、患者さんも納得してくれないであろう。

そういう意味でも、船登先生の4-Dコンセプトは、「症例を作る」というより、むしろ「症例を育てる」とも言うべき、プロ中のプロの仕事と思える。

そもそも、インプラント治療は、「作る」という歯科医師の直接関与より、その「育てる」といった間接的な関与であると言える。

インプラント治療の最大かつ重要なポイントは、その埋め込んだチタンと骨との癒着である。ただ単にインプラントを骨内に埋め込んだだけでは、瞬間かつ局所的に100kgにも及ぶ咬合力に耐えることはできない。チタン表面にオッセオインテグレーションという、骨との癒着が起きて初めて、インプラント治療として成功し、役割を果たすことが出来るが、その癒着を起こさせるには、正に待つ期間が必要になる。さらに、その後、インプラントを作るのは歯科技工士であったり、管理していくのは歯科衛生士や患者さん自身であることから、歯科医師はそれらを「育てる」こともまた重要なことである。

つまり、インプラント治療で重要かつ直接的な作用は、生体が起こしてくる現象であったり他者が関与するものであったりするものなので、歯科医師の関与することは間接的なものということになる。

そこで、重要な点はやはり時間である。インプラント手術後に上顎で6ヶ月、下顎で3ヶ月の待機期間が必要となる。これは、チタンと骨とが癒着してくるまでに必要な期間だが、この期間に代表されるように、骨の治癒には一定の、それも比較的長い、時間を必要とする。

そのような時間は必ず必要であるが、その待つと言う考えを一歩進め、積極的に待つと言うのが4−Dコンセプトである。

ただ待つのでなく、周囲組織をマネージメントしながら待つのである。骨再生や歯肉の移植は勿論、時には矯正により歯を挺出させ、挺出に伴う周囲組織の増生を期待しながら待つ。

この4−Dコンセプトは、船登先生仰るように、特に新しく画期的なコンセプトでなく、矯正治療や従来から漠然と行われている治療法を改めて明確化したコンセプトであるが、なかなかコロンブスの卵的な考えは、指摘されてから気づくものではないだろうか。

最後に、船登先生から若手の先生方にということで頂いた言葉にも共感する部分がある。「自分の症例の写真を頻繁に撮り、自分が師と仰ぐ人の写真と大画面で比較しなさい」。

私も、自分の師匠から「写真を撮り、常に確認をしながら日々研鑽しなさい」と教示され、それを守り、後続に伝えている。写真は全てを物語り、嘘はつかない。症例の経時的変化を追う意味で、大変重要であるが、自分の勉強としても重要である。写真の残っていない症例は症例ではない。自分はインプラント治療の大家であると吹聴していても、症例写真が揃っていなくては誰も信じてはくれまい。口で「年間1,000症例」と言おうが、数例しか写真提示がなければも、インプラント治療は数例しか行っていないビギナーと扱われるのが、我々の世界のルールでもある。

そのような考えをお持ちと言うことからも、船登先生は細心のインプラント治療と言うに相応しい治療をされていた。

小川先生の講義といい、お二人の講義内容はまさに「最新のインプラント治療を細心の心配りで・・・」といった内容であり、改めて、自分の治療コンセプトの方向性を確認できた講演会であった。
インプラント最新&細心事情 その1
本日、2人の著名な先生の講演会があり拝聴させていただいた。
1人は、UCLA歯学部ワイントロープセンターの小川隆広先生。もう一人は石川県金沢市でご開業の船登彰芳先生である。

小川先生からは、インプラント治療のエビデンスは実は少ないという話があった。学術論文を全てエビデンスと考える風潮への戒めを込め、その内容を吟味して再考察するという「Critical Review」が必要であるとの事であった。その批判的再考察をしてみると、数多あるインプラントの学術論文のほとんどは、エビデンスにならないとの事であった。ほとんど信憑性が無いと聞くと、多少不安になる内容であったが、小川先生の仰る、研究プロトコールのストラクチャの大切さは、私も米国留学時に痛感した。

そもそもアメリカ人は日常生活から批判的である。あいまいさを嫌い、白黒物事をはっきりさせないと気がすまない風潮がある。そしてその違いをきちっと見極め、それを認め合うのがお国柄ではないだろうか。決して批判的という単語が持つマイナスイメージではなく、建設的な批判であり、その物事の考え方は、学問的な推察や考察に非常に役に立つものだと思った。

私の留学の前半1年は、研究プロトコール書きで終わった。200ページもにも及ぶ研究計画書を書きながら、日本語がいかにあいまいでかつ文学的かということを悟った。

研究論文を日本語で書く際にも、この経験は生きているように思える。私は大学院時代、よく指導教授(当時は助教授)から「お前の文はお前しか分からない。科学論文は初めて読んだ人間でも、分かるように書かないと意味が無い。」と叱られたが、当時はよく真意は分からなかった。しかし、英語でプロトコールを書くと、その真意ははっきり分かった。

英語と日本語の決定的な違いは、主語、述語、目的語・・・これらの明確さにあると思う。日本語は主語を省くことが多い。

「愛しているよ」といえば、「私はあなたを愛している」という意味に決まっているので、日本語では「愛しているよ」しか言わない。しかし英語ではご存知「I love you」だ。決して「love」や「I love」「love you」にならない。

さすがに私も英語で主語を省くことはあまり無かったが、よく友人や英語の先生に「誰に?」「それって何?」「何を?」など、目的語を省いたばかりに会話が成立せず、質問されたものであった。英語で物事を考えることは、イコール科学論文を書くための良いトレーニングにもなるということに気づいた。

さて、小川先生は渡米して9年だそうだ。9年前というと、私が米国留学した時期と一致する。小川先生と比較し、自分は2年間の留学の後、ヌクヌクと日本のあいまい社会で時を過ごしてしまったと、痛烈に感じた。

インプラント治療に対し、実にロジティックに研究をされ、それを形にしていく小川先生の研究姿勢に大変感銘を受けた。

本日は、3iがバックアップしてのセミナーだったので、コマーシャルの部分もあったと思うが、それを差し引いても、勉強になった。

まずは、インプラント周囲組織、特に骨の解明である。凡人は言われていることや直感的に感じることを盲目的に信じて疑わないものであるが、小川先生はそれを疑るところから始めた。

一般的に、インプラント(フィクスチャー)表面を様々な手法により粗面構造とし、良好なオッセオインテグレーションを得ることが出来るということは知られているが、そのことを徹底的に検証した研究は少ない。そのような状況の中で小川先生は、酸エッチングによりインプラント表層が粗面になると周囲にできる骨が、硬く、剥がれ難い骨になることを実験的に証明した。

特に、酸エッチングによる粗面構造周囲の骨に発現する遺伝子を検出することにより、そのことを証明したことは、まさにインプラント治療にエビデンスを加えたといっても良いであろう。

実は数年前、商用誌であるクインテッセンスの原稿を依頼されたことがある。その原稿依頼は、小川先生の研究論文で、「ラット大腿骨に埋め込まれた酸エッチングチタン表面上での遺伝子発現について」というような題の和訳とそれに対するコメントであった。当時、浅学な私は、色々な先生に助言を仰ぎながら小川先生の論文を訳し、理解しようとしたがとうとう分からず仕舞いであった。中途半端な訳文しか出来ず、依頼をしてくださった方々に大変申し訳ないことをしたと思う。

さて、それよりもエキサイティングな内容が、「スーパーオッセオインテグレーション:Superosseointegration」なる概念である。

2009年12月に3i社から、全く新しい表面構造のインプラントが出るそうだが、その表面構造についてのサマリーの提示があった。

まずは、光活性により、骨接触率100%を得ることが出来る表面構造のインプラントが出来つつあるとのことであった。通常のインプラントは50-70%程度の骨接触率であるが、紫外線照射により活性化されたこのインプラントは実に骨接触率が100%近い数値を得ることが出来るということだ。これを、小川先生は従来のオッセオインテグレーションを超えるものなので、スーパーオッセオインテグレーションと呼んでいる。

また、ナノテクノロジーにより、200-300nmの微細なビーズをちりばめたような酸エッチング表層を作ることが出来たそうだ。酸エッチングによりチタン表面に、約1μmの微細構造を作ることが出来るが、小川先生曰く、骨芽細胞にとってちょうど良い大きさの凹凸になっているそうだ。このちょうど良い1μmの凹凸を維持しつつ、200-300nmの小さな突起を更につけることにより、天然の骨表面に酷似させることが出来る。実際SEM(電子顕微鏡)像の提示があったが、そっくりであった。

このような2つの技術単独かもしくは両者をあわせた表面構造のインプラントが、来年の年末には市場に出てくるというのはとてもエキサイティングなことで、しかもそれを開発したのは日本人であるということは大変喜ばしい限りである。

この第3世代の表面構造は、完璧なオッセオインテグレーションを2週間ぐらいで得ることが出来そうだとのことで、インプラント治療の予知性は更に向上することであろう。登場が非常に楽しみである。

船登先生の講演内容については「その2」に続く・・・・


インプラントとSEO
SEOなる言葉が巷で聞かれるようになった。数年前には全く聞かなかった言葉であるが、現在ホームページを所有する者でこの言葉を聞いたことのない人はいないのではないだろうか。

SEOとは【Search Engine Optimization】、日本語では検索エンジン最適化などと訳され、詳細は以下の通りである。
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SEO (サーチエンジン最適化)
サーチエンジンの検索結果のページの表示順の上位に自らのWebサイトが表示されるように工夫すること。また、そのための技術。Webサイト構築などを手がける事業者の中には、SEOをメニューに用意しているところもある。サーチエンジンは登録されているWebページをキーワードに応じて表示するが、その際の表示順位はそれぞれのサーチエンジンが独自の方式に則って決定している。この順位が上にある方が検索エンジン利用者の目につきやすく、訪問者も増えるため、企業などでは検索順位を上げるために様々な試みを行なう場合がある。その様々な技術や手法を総称してSEOという。
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以前、知り合いから、自院のSEO対策について参考にしたいので、当院のSEO対策について尋ねられたことがある。

結論から言うと、対策はSEO対策の王道である、コンテンツの充実しか今は行っていない。今はというのは、以前は確かにSEO業者に依頼していたからである。

思えば、2年程前、ふと・・・Yahoo!にて「インプラント」で検索したことが事の始まりであった。検索の結果、表示されてきたHPを見て大変ショックを受けた。検索上位HPの内容があまりにも薄い内容であったからだ。商用ベースで作られたインプラントの説明のページは、公正性に欠け、コマーシャルの何者でもなく、患者が求めている情報が満載されているとは言い難かった。手前味噌だが、当院のHPの方が遥かにアカデミックでインプラント治療について詳しく知ることが出来るのに、なぜ検索上位に上がってこないのかと調べ始めたのがきっかけであった。

当時の当院のHPは、素人の私が稚拙なHTMLを見よう見まねで駆使した全くのベタで、サーチエンジンフレンドリーという言葉とは対称的な位置にあった。私は、ブラウザの違いによる見え方の違いを嫌い、ページは全て画像データに置き換えて、各ページを1枚の写真で見せていた。つまり、サーチロボットはテキストデータからはそのコンテンツを理解するが、画像データからは理解できず、ページにインプラントの情報がどのくらい記載されているかは理解できない。思えば、何年もそんな状態で、大変もったいない掲載の仕方だったと反省させられた。

グーグルの基本概念である「沢山のサイトからリンクを張られているサイトが優良である」という概念も学んだ。当院のサイトは全く、外部リンクなど考えてもいなかった。

しかし、何かの宣伝でも言っていたように、いくら優れた商品を扱っていたとしても砂漠の真ん中では売れない。いくら自分でインプラントについて公正かつ適切な情報を公開していると自負していても、サーチエンジンで上位にランクされなくては、正しい知識も間違った情報に埋もれ、いつの間にか間違った情報が人々に認知されてしまうことになる。

インプラント治療は、一昔前に、その間違った認識が広まり、「インプラントは悪魔のささやき」などとのタイトルの本も出てしまった、悲惨な歴史もある。

過ちは繰り返してはいけない。そんな思いから、当院HPの再構成とSEO対策を施し始めたのが1年半ほど前であった。しかし、問題はその費用にあった。HPの再構成は、ある私の患者さんの好意で見事に生まれ変わったが、SEO業者には私としては莫大な費用を支払った。

数社のSEO業者に見積もりをお願いしたが、目が飛び出るほどの金額であったのを記憶している。「インプラント」のキーワードは、月間検索数が大変多く、ビックワードの一つである。そのビックワードを検索語として自分のHPを、Yahoo!やGoogleの検索結果の1ページ目に表示させるには、およそ1ヶ月のSEO対策費として200万円〜130万円かかるとの見積もりであった。広告費として考えても、1ヶ月100万円以上というのは、JRの大きな駅の改札正面の看板でもそこまで高くない。それだけ、効果があるということなのであろうが、そもそも、集客効果を期待してのSEO対策ではなく、インプラント治療における公正で適切な情報を広く知らしめたいとの希望から、SEO対策を講じようと思ったわけで、先行投資としての広告費としては、恥ずかしながら当院の規模を遥かに超えていた。

結局、いろいろあたり、こちらの事情も考慮していただいた、とあるSEO業者にお願いすることとなった。それでも月50万円強の出費であった。家内からは最低契約期間の半年を目安にとのことでしぶしぶOKを取り付け、対策を始めたが、結局、契約切れ寸前にYahoo!9位(1ページ目)にランクインしただけであった。契約切れ後も、こまめなアップデートを続け、最高7位まであがったが、海外出張で1週間ほどインターネットに接続できず、アップデートしなかったあたりから順位が下降しだし、今ではかなり順位を下げている。

現在は、Yahoo!とGoogleでは70-80位ぐらいになってしまっているが、MSNのライブサーチではどういうわけか、1位になっている。コンテンツをきちんと評価していただいているからか・・・それとも、何かの偶然か・・・

とにかく、今はコンテンツをコツコツとアップデートすることぐらいしかしていないが、そのような直向な努力は歯科治療、インプラント治療に通じるものがあると勝手に解釈し、そのような努力が報われないことは無いことを信じている・・・。
インプラント治療のサポーターと後継者 その2
優秀な日本の工業製品を根底から支えているのは、実は、下町の町工場であるという事実が世間にアナウンスされてから久しい。

旋盤技術やレンズを磨く技術など、一流の大企業が製品を作り出す基の機械や技術を創り出しているのは、町工場の職人さんだそうだ。詳しい話はさておき、その町工場では働き手や後継者が不足しており、深刻な状況にあると時折、メディアの特集に取り上げらているのも目にする。

実は、歯科界も似たような状況にある。「その1」で保険治療の枠組みのため歪んだ料金が、技工所の経営を圧迫し、士気を低下させていることは述べた。そこで、今、歯科医院は盛んに、その枠組みから外れる自由診療へと、積極的に経営基盤をシフトして、生き残りに躍起になっているのが現状である。

ただ、そこが問題でもある。

お金が貰えるから仕事をするのでなく、仕事をしたからお金をもらうという原則から外れる行為がしばしば目につく。

つまり、仕事は、いくら利益が出るからするものではなく、その仕事が感謝されその感謝に対する対価でいくらの利益が出るはずであるが、先にそろばん勘定ありきの医院運営では、医療とはいえない。医はまずは仁術であり、その仁術を施すために算術も必要で、仁術を笠に着た算術では如何なものかと思う。

昨今、インプラント治療のエビデンスが確立され、患者ニーズも高まり、歯科医院経営者はインプラント治療に経営の活路を見出すために、インプラント治療を導入し始めている。

インプラント治療は、適切な処置と管理を行えば、現在の歯科医学の中で最も安定した治療結果を得ることが出来る。まさに、完成度の高い治療法である。

しかし、治療自体の完成度が高ければ、それに伴う術者の技量と製品の完成度も高くなるのが当然である。十分な基礎知識や臨床知識と技術に、精度の高い製品と技工物があって初めて、インプラント治療の利点を100%引き出すことが出来る。また、それを長く永続させるには、口腔管理の徹底も必要である。

当然、それには沢山の人々の労力が必要で、当然、その対価はそれなりのものとなって然るべきであるが、目に見えない人々の労力を金額に表すのは難しい。難しいので、患者さんもなかなか理解できず、インプラント1本○○円と聞けば、安い方に気持ちが揺らぐのは誰でも同じであろう。

しかし、以前ににもこのブログで主張させて頂いたが、安さには理由が必ずあるものである。量販できるものであれば、大量仕入れの薄利多売という商売の仕方はあると思うが、インプラント治療は決して電化製品のようにはいかない。インプラント治療においての安さの理由は、精度と労力を犠牲にしてのことであると理解して良い。

それらの、犠牲が直接的または間接的に、インプラント治療の信頼性を損ない、そのサポーターや後継者達の犠牲につながらないかと懸念している。そのためにも、真のインプラント治療を続けていかなくてはいけないと思うのは、私だけであろうか・・・。



インプラント治療のサポーターと後継者 その1
後輩の一人が今度開業するということで訪ねて来た。

開業医は勤務医と違って、治療だけ行えば良いわけではなく、経営経理から、不動産、建築や果てはごみの出し方までありとあらゆる事を考えなくてはならない。

開業に際し、院内システムの参考にしたいということで、問診票やちょっとした院内の書類など、また、技工所を紹介して欲しいとの事で訪ねてきた。

当院での技工所は全部で7つの技工所にお願いしている。保険治療全般、義歯、審美治療、前歯部インプラント、臼歯部インプラント、オールセラミックス、矯正・・・とそれぞれの得意とする分野に、技工物を振り分けお願いしている。

その中で、保険治療のD技工所を紹介して欲しいとのことであった。理由は保険治療であってもしっかりとした仕事をしているからだと・・・確かにD技工所は保険治療という範疇で、金額以上の仕事をしている極めて稀な技工所だ。

周知のように、保険治療とは治療費が決まっている。上手な先生がやってもそうでなくても、料金は一緒である。当然、上手な技工士が作製してもそうでなくても同じ料金となる。たとえば、1個3,000円のインレーを技工士に発注するには、当然技工料は3,000円より高くなるはずがない。想像すれば明白だ。1個3,000円で、オーダーメイドの指輪やイヤリングが作れるだろうか?それも材料費込みで・・・このような非現実的な治療費を押し付けられているのが今の歯科界である。そんなしわ寄せはいつの世でも、下請けに近いところが被るのが世の常である。

必然的に、保険治療の技工を請け負う優良な技工所は少ない。優秀な技工士は自分の技術を高く買ってくれる(評価してくれる)仕事に傾き、そうでない技工士は辞めて宝飾関係の仕事に転職するか、オーダーメイドの指輪を作るよりも高い技術と知識が必要であるが、1個1,000円程度の報酬しか得ることの出来ない仕事を、まさに医は仁術ならぬ忍術と耐えながら、命と共に金属を削ることとなる。

あまり公の場で発言するのにふさわしくはないかも知れないが、当院での保険治療は赤字である。当院だけではなく、日本中の歯科医院は少なからず同じ傾向にある。まさに医は仁術の何者でもない。

有資格者である歯科医師と歯科衛生士が30分間かけて、インレー1個治療しても3,000円の医療収入で、技工士への支払いが安くても2,000円程度になる。光熱費や機器備品などの諸経費を入れなくても、単純に30分で1,000円の差益であるが2人で仕事しているので、1人の利益は500円である。30分500円なので、時給1,000円であり、その程度の仕事なら、何も専門知識を得ずして出来る仕事は他にも沢山ある。

さて、歯科医院ですらこのような状況なのだから、そのサポーターである歯科技工所はもっと切実な問題であるようだ。高騰する金属に、上限の決められた料金であれば、当然利益となる技術料の配分が少なくなる。技術料が少なくなれば、量を稼いで収入をまかなうしかなく、それが質の低下につながっている。まるで過日、日本経済が陥りそうになったデフレスパイラルのような状況にあるのが、ここ数年の歯科界だ。

話は元に戻るが、当院で保険をメインにお願いしていたD社からこの年末に電話が来た。D社の技工士が2人ほど辞めてしまい、廃業の危機もあるということだ。実にもったいない話である。保険治療の範囲内の料金で、仕事も速く確実で正確。申し分のない仕事ぶりで非常に感謝していたが、やる人がいなくなっては仕方ない。急遽、他の技工所に仕事をお願いすることになった。

そんな事情を、その訪ねて来た後輩に話すと残念そうにしていた。ここ数年、どんどんと高い志を持つ歯科医療人が少なくなってきていると話が一致した。

歯科治療は、当然、一人ではできない。出来なくはないが、完成度の高い仕事は一人では出来ない。優秀な歯科医師に、歯科衛生士、助手、歯科技工士・・・各々の守備範囲を見事に守り、オーケストラのように調和が取れて、初めて完成度の高い仕事ができるものである。

サポーターや後継者たちが居て、歯科治療は支えられ、支えられていくものだと思うが、今の保険医療制度に、その明日を見出すことは出来ないのは大変遺憾であるといわざるを得ない・・・

せめて自費診療でそのサポーターと後継者を育てて生きたいと思うのだが、それもなかなか難しい問題である。・・・>その2へ続く
無痛インプラント 〜その2〜
歯科治療が嫌われる理由は、はやり痛いからであろう。
人が感じる痛みの中で、歯髄由来の痛みはかなり上位に位置する。ひょっとすると日常生活の中で経験する痛みの中では、最も痛いと考えても良いのではないだろうか。そんな歯の痛みを治すのも歯科医の仕事であるが、それを治すために、更に痛みを与えなくてはいけないこともあるので、歯科医は嫌われる。

最近では、技術や機器、薬剤が進歩し、ずいぶんと人に優しい歯科治療が出来るようになったと思うが、なかなか、「歯医者は怖い!」というイメージは払拭できないのが現実であろう。

歯科恐怖症なる病名がある。歯科医院に来て、診療台に座るだけで心拍数は上がり、血圧が200ぐらいに上昇。そして、診療台の傍に歯科医師が来て、治療内容を話し始めたあたりで、意識が遠退き、治療台の背もたれを倒した時点で、意識が喪失してしまう患者さんもいる。このような方は、完全な歯科恐怖症であるが、そこまでひどくなくても、治療の途中に気分が悪くなる方はしばしば見受けられる。

その様な場合、治療は、吸入または静脈内鎮静下にて行う。吸入鎮静では、鼻にマスクを当てるため、歯科治療には邪魔になるので、多くは静脈内鎮静が選択される。全身麻酔を軽くかけるものとイメージしていただければ良い。全身麻酔と違い鎮静であれば、患者さんの意識はかすかに残る。こちらの呼びかけに反応するので、途中口を大きく開いていただいたり、咬んでもらったりしなくてはいけない治療の多い歯科では、鎮静が適切である。全身麻酔であれば、術前後の管理を含めると、日帰りしていただくことは難しい。

以前(5〜6年前)では、鎮静を行うと、患者さんが多弁になったり、いきなり起き上がろうとしたり、装置をはずそうとしたりとかなり、術者側にはストレスを強いるようなことであったので、鎮静はよほどのことがない限り行わなかった。しかし、最近は、専門医(麻酔科医)の技術の向上と薬剤の進歩から、術者側のストレスもなく手術できるようになった。

鎮静法のもう一つの利点は、術後の回復が良いということもある。病は気からというように、手術中の精神的ストレスが少ないと、術後の回復も良いようだ。おまけに、患者さん自身は術中の詳細を覚えていない。これを健忘効果というが、丁度、深酒した夜、記憶がないような状況になる。手術もあっという間に終わり、おまけに覚えていないとなれば、術後の回復も良くなるのであろう。

このような理由で、最近はインプラント治療にこの鎮静法を導入する先生が多いようである。どうやらこの鎮静下にてインプラントの手術を行うことを、一般の方々にもわかりやすく「無痛インプラント」と言っているようだ。蓋を開けてしまうとコロンブスの卵のようになってしまうが、ここ数年でインプラント治療の技術と製品がよくなってきて、インプラント治療が急増した理由を考えると、今後はこの鎮静法を併用したインプラント治療も増えてくる可能性は高い。

良いこと尽くめの鎮静法であるが、以下のようなディメリットもあるので、注意が必要である。

1 麻酔深度の調整は難しく、麻酔の専門医によって行われるべき方法である。
2 術者(手術をする人)とは別に、鎮静を行う専門の麻酔医が必要である。
3 インプラント手術における鎮静は、自費治療になる。
4 手術時間の延長(1.5倍ほど)
5 術前術後の制限(食事や車の運転など)
6 専用の機器備品が必要となる

適切な施術は、患者利益に大きく貢献することになるが、流行や安易な考えから、鎮静法を併用することは慎むべきことである。

鎮静法は麻酔深度を誤ったり、また、アクシデントに対応できない装備や知識、技術では、患者さんの生命を脅かす方法となることは間違えない。是非とも、熟練した麻酔専門医と仕事をしたいものである。

無痛インプラント
おかしなキャッチを、最近、目にする。

正常なインプラントであれば、痛むはずはない。むしろ、少々悪くなっていても痛まないので、タチが悪いことがある。
この「無痛インプラント」、手術のことを言っていると思うのだが、インプラントの手術は元々局所麻酔下にて行うので、痛みが無いのが当然だ。あったら、手術なんてできない。麻酔の痛みは別として、術中に痛みがあることはほとんどない。ほとんどというのは、あることもあるということだ。理由は下顎のインプラント手術中に痛みが出ることがある。これは、下顎には下顎管という神経(下歯槽神経)の入った管があり、その管にドリルが近づくと、痛みとして感じる。

歯科の局所麻酔には2種類ある。一つは、効かせたい部位に注射する浸潤麻酔であり、もう一つは、神経の大元に近いところに注射する伝達麻酔である。大きな手術を行うときには浸潤麻酔のみならず伝達麻酔も用いるが、通常、インプラント治療には伝達麻酔を用いない。理由は、誤って下顎管を損傷させないためだ。最近では、歯科用CTの普及により、下顎管の損傷の可能性は極めて少なくなってきている。しかし、レントゲンはあくまでもレントゲンであり、実像を完全に表しているわけではない。然るに、最終的には、レントゲン(CT)を参考に、術中の視覚感覚が決め手となる。自己を過信してもいけないが、レントゲンを過信しないことも事故を未然に防ぐポイントである。

浸潤麻酔のみであれば、ドリルが下顎管に近づくと、痛みが出る。これが、麻酔の奏功不足なのか、下顎管に近づいたのかの判断はCTを参考に行う。よって、下顎管の大元に伝達麻酔をしてしまい、下歯槽神経を麻酔してしまうことは、インプラント治療の原則から外れる。

さて、この「無痛インプラント」なるものは、この下顎管に近づいたときにも痛まないように伝達麻酔でもしているのか・・・どうやらそうではなさそうだ。では、麻酔の注射をするときに、表面麻酔剤を塗って、麻酔の注射の痛みをなくすことを表しているのか??いやいや、そんなありふれた処置で「無痛インプラント」などと吹聴しないだろう。さてさて・・・「無痛インプラント」とは・・・その正体は、次回のお楽しみと致しましょう(といっても、特別なことではありませんので、あまり期待せずにお待ち下さい ^_^;)。
インプラント手術のエマージェンシー
手術にアクシデントはつきものである。むしろアクシデントは起こるものと構えてかかる方が、万一の場合に慌てないものであると心得るようにしている。

インプラント治療におけるアクシデントには、患者さんの体に起こるものと、インプラント体に起こるものがある。どちらも起きてもらいたくないものであるが、起きてしまった時の対応術を心得ていると、2次災害を防止することができる。

先日、インプラントの中に折れたネジが入って取れなくなったという相談を受けた。インプラント治療が市民権を得て、治療症例が増えてくると、当然、それに伴うトラブルも増えてくる。なかでも、アバットメントスクリューやフィクスチャキャリアのスクリューが破断してしまい、インプラント内部に残留してしまったとのアクシデントは、緊急性もないので、後処置を依頼されることがしばしばある。

たった1本のネジが折れて、僅か数mmのネジの破片が内部に残ってしまったために、そのインプラントは使用できなくなる。場合によれば摘出も余儀なくされる。何としててでも、取り出したいものであるが、この摘出が難しい。

方法はいろいろあるが、基本的には、破断したネジが雌部に噛み込んでいることはほとんどなく、マイクロスコープ下にて注意深く、根気よく探針等で逆回転させれば上に上がってくる。プラークや血液などが介在し、回せないようなら、超音波スケーラーで振動を加えてながらまわすことを試みる。道具としては、フラグメントフォークなるものがあるが、探針で僅かに動く場合にしか利かないと考えてよいかもしれない。

どちらにせよ、インプラントを埋め込むことだけできたのでは、対応できない世の中になってきたのは確かなようだ・・・。

審美的なインプラント
実は、見た目が良い歯を作るのにインプラントは向かないことがある。

先端技術が効果的というのは時として当てはまらない。歯科ではレーザー治療がそうであろう。「レーザーで治します」と聞くと、非常に有難く思う方も多いと思うが、実はかなり怪しい。信憑性で例えるなら、ダイエットサプリメント程度と考えて良いと思う。ダイエットにはやはり運動が効果的で、楽に簡単にできるダイエットで効果的なものがないことを、誰もが薄々気づいているが、つい試してしまいたくなる現象に似ている。もちろん、レーザーで効果があるものもあるが、レーザーでなくとも同じような効果があり、あえてレーザーを使う意味がない治療がほとんどである。

話はいきなり横道にそれてしまったが、レーザー治療の功罪はまた別の機会にして、審美的なインプラントについて話を戻したい。

歯を作る時に、今や周りの状態(歯ぐきや唇など)との調和を考えないことはない。この周囲組織との調和がやはり、人工物であるインプラントにとっては難しい。そもそも、骨とチタンが癒着することが発見されたことによりインプラント治療はスタートしたが、いうなれば、歯の機能(噛むということ)を回復させるためにスタートしている。歴史的にみて、歯科治療自体がそのような歴史があるので当然だが、まずは痛みをとる治療、そして噛める様にし、最後に見た目を良くする治療について考えられる。つまり、見た目の治療は、痛みをとる治療と噛める治療が確立してから、考えられる治療であるといえる。

昨今、インプラント治療により、咀嚼機能(噛む機能)の回復は、ほぼ完成度の近い治療となったが、審美的な(見た目の)治療は、未だ研究の余地がある。

見た目といえば、前歯であるが、特に連続したインプラントの間にある歯ぐきはとけやすい。なぜ、とけてなくなってしまうかというと、基本的な理由はこうである。歯と歯の間には、歯間乳頭という歯ぐきが存在する。歯ぐきが存在できるには、その下地である歯槽骨が存在しなければならない。歯槽骨は、文字通り、歯の槽なので、歯を入れる器であるが、入れる歯がなくなると役目を失い吸収(とけて)してしまう。

人体のなかで、役目を終えた器官は萎縮する傾向にあるが、これを廃用性萎縮という。

これらの理由から、歯が抜けると歯槽骨が吸収し、歯ぐきが落ち込むという現象が生じる。

さて、インプラントだが、一度落ち込んでしまった歯肉の場所にインプラントを入れても、見た目の良いインプラントにならない。白い歯が、歯ぐきから出てきているだけでよいのであれば、それはそれで良いが、歯ぐきが落ち込んでいるということは、歯が長く大きくなるということになる。前歯であれば、見た目の問題が起きることになる可能性が高い。

これを解決するのが非常に難しい。

理論上、吸収してしまった骨を戻してあげれば良いのだが、骨の増生は難しい。特に、インプラントを行うには本物の骨を作らないといけない。簡単に対処するのであれば、アパタイトのようなものを歯ぐきと骨の間に移植して膨らませておけば見た目は良くなるが、骨ではない組織は、インプラントと癒着をしない。インプラントは骨と癒着することにより、その機能を発揮するので、アパタイトに刺さっているだけの状態であれば、間違えなく、直ぐに脱落する。

一部の臨床家は、あまり理解せずに、(非吸収性)人工骨(ヒドロキシアパタイトが一般的だが、吸収性Bio-OSSなども、実は完全に吸収しないと最近は言われている)をインプラントの周囲に使用するが、安易な使用は、インプラントと骨との接触面積低下させ、出来損ないの癒着しか獲得できないことを再度認識する必要がある。

つまり、人工骨を用いて増生した骨(厳密には骨様組織)の50%が人工骨であれば、インプラントが癒着を獲得できる面積も、理論上50%になってしまう。13mmの長さのインプラントを埋め込んでも、計算ではその半分の6.5mmのインプラントを埋め込んだものと等しくなってしまうと理解すべきであろう。研究データから、7mm以下のインプラントの使用は著しい生存成績の低下を引き起こすとも言われているので、このような人工骨を用いたインプラントの施術は行うべきではないと思える。

(次回につづく)



アーク歯科クリニック

インプラントセンター.jp
ソケットリフトの勘どころ
上顎の奥歯に、インプラント治療を行う際に、ほとんどのケースで上顎洞(副鼻腔)の存在が問題となる。特に日本人(モンゴロイド)では、顕著に問題となる。理由は、日本人の解剖学的形態の特長ともいえるが、上顎洞底が低い位置に存在することが多い。それに引き換え欧米人のアゴの骨は実にインプラント治療を行うのに都合が良く、うらやましい限りであるが、手術する対象は日本人が殆どであるので、指をくわえているだけでは何の解決にもならない。

上顎洞底が下方に位置する場合、上顎洞方向に骨を増生する方法が、サイナスリフトであるが、顎の側方からアプローチするウインドウテクニックと違い、垂直方向からアプローチする、ソケットリフトは体への侵襲も少なく、簡便で確実な方法として、90年代半ばにDr.Summersによって提唱された。以来、10年を経た現在、研究ならびに臨床データが発表され、客観的に良好な術式と判断できるようになった。

ソケットリフトは比較的簡単である。インプラントを挿入する穴を開ける時、上顎洞までわずかに骨を残す。その穴に、骨移植材を詰め、移植材を介して、わずかに残した骨を上顎洞方向に押し上げる。この際に気をつけなくてはいけないのが上顎洞粘膜(と骨膜)を破らないようにすることだ。

以前、ソケットリフトの講習会を行ったが、そこで受講された皆さんの殆どは、器具によって上顎洞粘膜を挙上すると考えていた。ソケットリフトの際に用いる器具をオステオトームというが、直接オステオトームで上顎洞粘膜を挙上するわけではない。穴に詰められた移植材を介して、わずかに残した骨を若木骨折させ、その先にある骨膜と上顎洞粘膜に、骨移植材を介して圧力を加える。移植材は血液と混ざり半流動性であるため、形成された埋入窩にオステオトームが差し込まれ圧力がかかると、全方向に均一な圧力が負荷される。物理学でいう、パスカルの原理が働く。慎重に丁寧に圧力をかけると、上顎洞底の骨面から骨膜ならびに上顎洞粘膜がはがれて行き、その空間に骨移植材が詰め込まれていく。このため、ソケットリフトが成功すると、インプラントを中心に、きれいなドーム状の骨が増生されことになる。

先に、ソケットリフトは、簡便に確実と述べたが、あくまでも従来からのウインドウテクニックと比べてである。術式から想像できるように、繊細な職人芸であることは間違えない。特にオステオトームを槌打し、若木骨折させる瞬間の感覚はまさに目をつぶって指先に神経を集中させた方が良いくらい繊細な作業である。講習会や人に聞かれて、感覚的なものを教えるのは難しく、説明はするが最終的に慣れて体感してもらうしかないと思う。慣れてくると、丁度、地震のP波を感じ取り、次に来るS波を予想することができるように、若木骨折する1打前に、「次の1打で抜けるな・・・」とわかるようになる。その根拠は、槌打する際の音と感触だが、単純にそれだけでもないような気がする。然るに、器具は職人の命とも言えるので、オステオトームも自分で考案した。

このソケットリフトが出来るようになると、症例の幅がグッと広がる。インプラント治療を諦めて頂いていた方々にも、施術できるようになることは非常に有益なオプション外科手術だと思う。

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歯周病治療とインプラント治療
インプラント治療は、補綴治療(歯が無くなったところを補う治療)である。

この事は事実ですが、果たして、この考えが狭義なのか広義なのか意見の分かれるところでしょう。

少なくても、従来からの補綴治療に、手術の要素は無い。あっても、補綴的な歯冠長増大術程度であろうが、補綴的な要求に基づき、外科(主に歯周外科)を行う先生が行っていた仕事だということを考えれば、補綴治療に観血的な処置はなかった。百歩譲ってあったとしても、骨体内部にアプローチするような処置は、補綴治療にはない。

そこで、当然であるが、口腔外科か歯周外科の延長線上に、インプラントの手術は存在する。

ということで、口腔外科と歯周外科(歯周病治療)を専門としていた人達が、インプラント治療を導入しやすく、実際、経歴を聞くと、口腔外科や歯周病科ということが多い。

一昔前のアメリカでは、口腔外科の先生がインプラントを埋め込み、補綴の先生が上部構造体を作り、歯周の先生が管理(メインテナンス)を行うというシステムが出来上がろうとしていた時期があったが、結果は成立せず、今は行われなくなってきている。

理由は簡単で、口腔外科の先生は、インプラントを埋め込むことには慣れているが、上部構造体のこと(咬み合わせのこと)はあまり知らない。インプラントを適当に入れ、手術もかなり雑であるという傾向が強い。

補綴の先生は、上部構造体を作るとは言っても、印象(型取り)だけ行い、後は歯科技工士が作製する。補綴の先生の言葉を借りれば「調整が重要」との事だが、優良な歯科技工士の作製する技工物はほとんど調整はいらない(もっとも、調整をしなくてすむ技工物を作ってもらうには、それなりに歯科医師の努力も必要だということは理解している)ので、仕事を右(外科)から左(歯周)に流すだけで、責任があまり無い。

そして、歯周の先生が、メインテナンスとしてもっとも長く患者さんと付き合うことになるが、自分で手がけたインプラントでないものを面倒見て、責任をとれといわれても困るという問題が生じた。つまり、連携を取れれば、良いシステムなのだろうが、お互いの利害がうまくかみ合わなかった。

結果、長く面倒を見るセクションが、最初から全て手がけたほうが良いのでないかという理論になるのは、自然である。おまけに、歯周病治療においては、補綴治療も歯周病治療の一分野である。

一般に、臨在歯が健全な状態(歯肉や歯槽骨に異常が無い状態)で、歯が抜けてしまっているような場合には、補綴治療の専門家(注1)が治療を行い、病的な状態(歯周病など)であれば、歯周病治療の専門家(注2)が行う。
注1:便宜上専門家という言葉を使うが、厳密には補綴に専門医制度は無いため専門家という言葉には問題がある。
注2:専門医制度があるので専門家と称して問題はない。


30歳を超えた国民の8割以上が、口の中に何らかのトラブル(歯周病)を抱えるといわれており、ましてや、歯の喪失理由の大部分は病気(虫歯、歯周病、根尖性歯周炎など)となれば、ほとんどの欠損処置は、補綴でなく、歯周病治療の範疇となる。

特に、歯周病学の見地から、インプラント治療を考えたとき、歯周病罹患歯の取扱いとインプラントの取扱いは非常に似ている。

歯周病罹患歯を、保存する場合には、歯科学の粋を集めて治療を行う。汚れを取るスケーリングは当たり前だが、歯冠形態を考慮して自浄作用を最大限に利用できるようにする。咬合力の分散や効率なども考えデザインする。つまり、歯周補綴といわれるものである。歯周病学は、歯科学全般であるので、当然、インプラント治療も歯周病治療の一部であるのは当たり前のことである。

なおかつ、歯周罹患歯の治癒形態は、長い接合上皮性の付着となり、歯周病の再発を起こしやすい。これが、歯周病に罹患した患者さんには定期的なメインテナンスが必要となる、一つの根拠となっている。

同じように、インプラントの周囲には、上皮性の付着しか存在しない。一部の浅学な人たちが、「インプラントにも生物学的な幅が存在し、それは上皮性の付着と線維性の付着をあわせて2−3ミリ程度存在する」と説くことがあるが、間違えなく、インプラントには線維性付着は存在しない。つまり、インプラント周囲には物理的に強固な線維性付着が存在しないため、天然歯よりも外壁が弱いといえる。このことが、インプラント治療においても、定期的なメインテナンスを行うことを推薦している一つの理由でもあろう。

話は長く、複雑になってしまったが、結局のところ、学問的に考えても、また、世界の趨勢から考えても、インプラント治療は、歯周病治療の一方法であり、歯周病専門医がインプラント治療を行うことが理論的であり、患者利益につながるものと考える。
インプラントは最高か?
本日来院された紹介患者さんの希望は、「最高の治療をしてください」との事だった。

最高であれば、インプラント治療だろうとその患者さんは思って、私のところに紹介されてきた。お口の中を拝見すると、なるほど、今まで歯で苦労なさってきた様子がわかった。ご本人もそうだが、それを診てきた先生も随分ご苦労ななされたと思う。

患者さんは若い頃から、歯周病がひどく、現在、歯は7本しか残っていない。かろうじて残っている歯も、おそらく全て抜歯であろう。少なくても2本は、直ぐにでも抜くような歯である。

プラン立てを始める前に、色々と覚悟を決めていただく必要があるので、最悪の想定(インプラントが出来ない、時間や費用がかかるなど)をしながら、今後の青写真を患者さんと話した。

その中で、患者さんが「インプラント治療が最高」という概念をお持ちだったため、それを改めさせていただいた。理由は治療に最高というものはなく、最良程度であるからだ。インプラント治療は、義歯(入れ歯)に比べれば確かにいいかもしれないが、健康な自分の歯には及ばない。

インプラント治療に対する過度の期待は禁物である。とかく、インプラント治療を至上の治療法と、信者のように思っている患者さんや先生には、あえて、インプラント治療の限界や欠点を説明させて頂くようにしている。

楽観や油断、慢心が思いもよらぬ事故を誘発するとも言え、また、過度の期待は、正常な治療結果も正常と受け入れていただけないことがある。悲観主義者ぐらいが丁度いいように思える。

今日いらした別の患者さんは、左下奥歯のインプラントを入れ、半年経ったが、帰り際の挨拶で「先生、あんなに困っていた歯が、今ではなんでもなかったように生活できます。(インプラントを)やってよかったです。」と言って頂けた。

今は、ニコニコのこの患者さんも、最初は暗い感じの方であった。

他院からの紹介のこの患者さんは、どうにか抜歯せずに、今ある歯を残して欲しいとのことで、1年程前に私のところにいらした。拝見すると明らかに抜歯適応で、5年ぐらい前から同じような状況を繰り返し、私のところでも何とかならないかとのことでした。

歯の中は穴が開き(パーフォレーション)、歯の根には病巣が認められた。抜歯適応で、抜歯を促したところ、歯を残こすことを目的に今まで我慢してきたのにどうしても抜きたくないとの事であった。つまり、患者さんにとっての最高の治療は、歯の保存であった。しかし保存治療とは、残せる(残すべき)歯を残す治療で、残せない(残すべきでない)歯を残す、治療ではない。

そこで、「患者さんの望みは、歯を口の中に置いておく事ですか?それとも、おいしく食事ができるようになることですか?」との質問をした。当然、患者さんは「おいしく食事が出来るようになりたい」とおっしゃった。

患者さんの望みは、「自分の歯でおいしく食事をすること」であるが、現代の歯学では、今の歯を残し、きちんと食事が出来るようになる可能性は限りなく少ないことを説明した。

説明するとがっかりしていた様子でしたが、「但し、抜歯して、インプラントにすればその可能性は、限りなく大きい」ことをお話した。

結果、渋々、抜歯を承諾していただき、インプラントになりました。最高の治療から最良の治療に転化したといえます。

一番良い治療法は、何度も言うように、自分の歯が再び生えてくるような治療法です。しかし、それは現時点では出来ないわけで、その中から、最良の治療法を選択するのが、我々歯科医師の使命でもある。


小さな入れ歯
紹介患者さんは患者さんを紹介してくれるもので、いつの間にか家族全員とかお友達全部とか同僚みんなとか・・・いうことは良くある話しです。

今日、初診で見えられた方も、ご主人からの紹介でした。ご主人も品の良い方でしたが、奥様はもっと上品で、凛とした感じの方でした。以前から、入れ歯に苦労されていて、今回、ご主人がインプラントを行った経緯から、決心をつけたそうです。

女性でしかも、入れ歯の経験が長いと、顎の骨が薄くなっていることが多いので、インプラントは無理そうだとあらかじめ話しておりましたが、とりあえず可能性だけでも話しを聞きたいとのことで来院されました。

口腔内を見て、予想はほぼ的中しました。20数年前に抜歯したという顎の骨は、かなりやせ細っていおり、更に、小さい入れ歯が、顎の骨の吸収を促していました。金属で出来た入れ歯は、20数年前から今までに5度ほど作り変えたそうで、今までその入れ歯にかけたお金がなんと300万円ほどということでした。

本日の診査でははっきり言えませんが、おそらく、通常の形式のインプラントは骨の状態から難しいと考えられ、4-6本インプラントを埋め込み、その上にマグネットのアタッチメントをつける入れ歯形のインプラントになりそうです。

下顎の入れ歯は難しい。理由は様々ですが、上顎に比べ下顎骨の抜歯後の吸収は大きく、顎堤(顎の土手)が平らになってしまうケースが多いからでしょう。顎堤が平らになってしまった場合、(そうでなくても)下顎の入れ歯を作る際には、顎舌骨筋窩のアンダーカットを利用するのが、良い入れ歯を作るコツです。この顎舌骨筋窩は下顎舌側の後方深部であるため、印象採得が非常に難しい。当然、出来た入れ歯も大きくなるし、アンダーカットを利用するため、入れ歯の着脱に工夫が必要となることがあります。

通常、このような入れ歯を製作すると、患者さんには嫌われます。大きいし、出し入れが痛いというのが大方の意見です。しかし、調整を繰り返し、慣れていただくと、ズルズル動いていた古い入れ歯と比べ、食事が良くできるようになる。

このように、入れ歯をちゃんと作ると、術者も患者さんも大変な作業のとなるはずです。しかし、大体の歯医者さんでは、この作業を行いません。理由は明確で、大きくて痛い入れ歯を入れたら、医院の評判が下がり、かつ、手間も時間もかかることなので割に合わないということからです。

すると、痛くなく、違和感が少なく、簡単な入れ歯を作る傾向にある。そんな結果、今回のケースのように小さな入れ歯になってしまい、その入れ歯が原因で、顎の骨がとけてしまう。

入れ歯が合わないので、インプラントにしたいと思ったときには、骨がないので、インプラントは困難というような悲惨な結果は、全て患者さんの身に降り注いできます。

現在入れ歯をしている方に、是非、ご自分の下の入れ歯を見て確認していただきたいい部位が、入れ歯の舌側の奥(ノド側)の部分です。この部分が奥と下に少し膨らんだ形になっていますか?そこが、膨らんだ形になっていれば、きちんとした入れ歯です。

そうでなかった場合、早めに歯医者さんに行き、きちんとした入れ歯を作ってもらいましょう。

インプラントにするつもりは無くても、顎の骨がしっかり残っていれば、入れ歯も快適に長く使うことが出来ます。一時期の調整と慣れる練習を、面倒だからとおろそかにすると、後で大きなしっぺ返しをもらうことになりかねません。

インプラントも出来ず、入れ歯も合わない・・・そうなったら、現代の歯科治療ではその悩みを解決することは出来ませんので、是非、そうなる前に患者さんには正しい入れ歯をしていただきたいと思います。
「インプラントセンター.jp」HPβ版完成
以前から、インプラント治療に特化したHPを作成したいと考えていました。

サーチエンジンで「インプラント」を検索すると沢山のHPが出てきますが、どれも徹底的にインプラントについて述べているHPはなく、少し物足りなさを感じがしていたのがきっかけでした。特に、アカデミックな話題とより臨床的な話題(症例提示)が、どのHPも極端に少ないような感じがしました。

なかなか、時間がなく、とりあえずはβ版として完成させましたが、今後は、もっと充実したHPにしていこうかと考えています。今までの講演会のサマリーや症例提示などを中心に、インプラント治療を広く深く探求していきたいと思います。

HPの名称は、インプラントセンター.jp<http://www.インプラントセンター.jp/>です。

ご覧の様に、日本語ドメインのHPです。現在、ブラウザとしは新参のIEはVer.7以降でしか対応しておりません。多くのユーザーはIE6以下で、日本語ドメインには未対応だと思います。未対応のブラウザで、日本語ドメインのHPをご覧になる場合には、日本語ドメイン名プラグイン(i-Nav)をインストールする必要があります。日本語ドメインに対する詳細は、日本語ドメイン名協会まで・・・・
インプラントの精度 その2 土台と冠の隙間
前回、咬み合わせの精度が重要なことは述べましたが、更に精度が要求されるのが、土台と冠の隙間の精度です。土台をアバットメントと呼び、冠は外側にあるので外冠と呼びます。この外冠とアバットメントの隙間がゼロになることが最も、強度的にも衛生的にも好ましいことです。

つまり、外冠とアバットメントとが密着することにより一体化し、外力に耐え、隙間に入り込む汚れ(細菌)もなくなります。

咬み合わせの精度も誤差0を狙いますが、実は、ある程度の許容範囲内があります。たとえば、咬み合わせる相手の歯が自分の歯であれば、自分の歯の方がある程度調節してくれたりします。また、口の中に入れた状態で、調整も可能ですし、多少高い(数十μm)ぐらいであれば、削れてきたりして自動的に調整してくれたりします。そういう期待から、外冠を金合金(柔らかい金属)やハイブリッドセラミックス(注:セラミックスと呼ばれていますが基本的にはレジン、プラスチック)で作る先生もいます。

しかし、外冠とアバットメントの隙間は自動調整してくれません。作製時の精度はどこまで行ってもそのままです。

そこで、決定的な差につながるのが、アバットメントと外冠をくっつける、装着方式です。これには2つの方式があり、一つはセメント方式、もう一つはスクリュー方式といいます。

どちらのも一長一短ありますが、圧倒的にセメント方式が主流となっています。理由は簡単で、作製が簡単で、高い精度を要求されないからです。セメント方式では、文字通りセメントでアバットメントと外冠をくっつけます。しかるにセメントが介在しないといけませんので、その隙間を最初からわざとあけます。このわざとセメントのスペースを設ける方法は、通常の歯の冠を作製するときにも設けますので、作り方は、ごく平凡な作り方と言えます。つまり、一般治療レベルでインプラントの冠を作ることが出来ます。

セメントのスペースは30-50μmですので、このスペースが誤差を吸収することになります。しかし、セメントは時間とともに溶けますし、アバットメントと外冠の隙間はところどころセメントが回り込んでいない部位も出てくることがあります。また、セメントの取りの残しなどが生じれば、インプラントの周りに人工歯石をつけてしまうことになります。

一方、セメントではなく、スクリュー(ネジ)で外冠をくっつける方法がスクリュー方式ですが、このスクリュー方式も沢山あり、私が主に用いているのは、舌側サイドスクリュー方式で、しかも形状が特殊なネジを用います。

スクリュー方式の欠点に、スクリューのネジ穴から汚れが入り込み、中が汚れるということが挙げられますが、この特殊なネジは、最後までネジを締めることにより完全にネジ穴を閉鎖し、外冠と一体化します。そして、その締める力により、アバットメントと外冠をキュッと密着させます。

そこで問題となるのが、誤差です。スクリューを締める時にわずかでも浮き上がっている(誤差がある)と、スクリューが最後まで締められません。つまり、完璧な精度がないと、この方式ではインプラントをすることが出来まないのです。

この、スクリュー方式の最大の難問は、このネジを使い、完璧な技工物を作製できる技工士さんが、ほとんどいないということです。

今までに数々の技工士さんに依頼してみました。有名無名問わず、技工士さんにあれこれ注文をつけながら、作製してもらいましたが、ほとんどの技工士さんは、誤差0の技工物を作製することができませんでした。当然です。使う材料(石膏や型取り材、金属や陶材・・・)に様々な誤差(収縮であったり膨張であったり)が生じるわけです。それらの誤差を予測しながら足したり引いたりして、最終形に誤差が生じないように作るわけですから、ほとんど神業です。現在、その神業で技工物を作製してくれる技工士さんが2人います。この2人の技術なくして、この方式は達成できませんので、感謝に耐えません。私の強力なパートナーです。

咬み合わせは、後でも帳尻あわせができますが、この隙間だけは、どうにもなりません。特に、歯茎の境目に隙間はでてきますから、セメント方式では、セメントの取り残しや汚れが入る隙間が出来やすかったりと、理想的なインプラント治療とはなりません。

スクリュー方式(舌側サイドスクリュー)は非常に、手間のかかる方法ですが、私はこの方法に日本建築に通ずる美しさを感じています。これには、宮大工のつぎ手技法のような匠の技が生きています。

歯科医師はサイエンスに基づいた職人です。その職人芸の真骨頂とも言うべき舌側サイドスクリュー方式は自分の技術の象徴であるとともに、プライドでもあるので、これからもこだわり続けて行きたいと考えています。
インプラントの精度 その1 咬み合わせ
インプラントの精度というと主に2箇所の精度があげられます。

1つは咬み合わせの精度です。
咬み合わせには、垂直的な咬み合わせと水平的な咬み合わせがあり、この両方の精度は非常に重要なことです。

しかし、重要だということは患者さんに説明していますが、実際、なぜそれが重要かと言う事はあまり詳しくは説明していないと思いますので、ここで詳しく説明したいと思います。

まず、インプラントと歯(天然歯)の構造を理解する必要があります。重要な点は、インプラントは骨とダイレクトに癒着していますが、歯は歯根膜という靭帯を介して骨とくっついているという点です。この歯根膜の働きを考えると、なぜ、インプラントでは高精度の咬み合わせが必要かがわかります。

歯根膜の厚さは200-250μmほどあります。靭帯ですから硬い皮のようになっており、歯と骨を強固に結び付けています。歯根膜は非常に色々なことをしており、重要な組織ですが、咬み合わせに関係していることだけを抜粋してみましょう。

--歯は生理的動揺がある

歯の骨が歯周病などにより、なくなってしまうと揺れるのは知られていますが、健康な歯でも若干の揺れがあります。それを生理的動揺といい、それはどのくらいかというと200μm以下としています。この生理的動揺、つまり歯の“遊び”分があるから、歯科治療は成り立っていることもあります。人間の手によって作られる、冠や詰め物は、厳密には誤差があり、構造上、“遊び”がないとセメントで着ける時に、浮き上がりを生じてしまうため、最初から“遊び”を設けもいます。この話は、次回「インプラントの精度 その2 土台と冠の隙間」に詳しく述べることにし、歯の“遊び”がなぜ重要かについて考えてみます。
誤差を吸収できる、“遊び”が沢山あればあるほど、誤差を吸収できるので、精度はあまり要求されません。ですので、逆に言うと、“遊び”がないものは高い精度を要求されるということになります。
ではインプラントはどうでしょうか?歯根膜はありません。つまり、骨やチタン自体がもつ、タワミ分(数μm)ぐらいしか“遊び”はありません。実際、それらのタワミは“遊び”にはなりません。なぜなら、タワミはバネのように絶えずインプラントに継続的な力をかけることになり、その力はインプラントをだめにさせます。
よって、歯であれば200μm程度の精度で済みますが、インプラントであれば理論上0μm・・・つまり誤差0が要求されます。
ゴルフで例えるなら、グリーンを狙う(一般歯科治療)のか、直接カップを狙う(インプラント治療)のかぐらいの違いがあるかと思います。

--歯根膜の自動調整
歯が矯正などにより、骨の中を動くことができるのは、歯根膜があるおかげです。歯は押されたり引かれたりすると、押された方向にある骨を溶かし、引かれた方には骨を作ることができます。この仕事をしているのが、歯根膜です。この歯根膜のおかげで、一定の“遊び”が確保され、時には、歯が動くことにより咬み合わせを自動的に調整しています。この歯根膜がインプラントにはありません。ですから、自ら微調整をしてくれる歯の治療では、歯根膜の自動調整範囲以内に収めてあげれば、後は歯の方が勝手に調整してくれることになりますが、インプラントでは最後まで、歯科医師の手により調整をしないといけません。
上と同じようにゴルフで言えば、ピン側に寄せてOKを出してもらえる「遊びのゴルフ」とルール通りカップに入れないと終了しない「正式のゴルフ」の違いと考えると分かりやすいかと思います。



歯科治療では医療の中でも、元来、高い精度が要求される仕事ですが、その中でも、インプラント治療はさらに高い精度が要求される治療だということを理解して頂けたと思います。

次回は、更に咬み合わせより、精度が必要な「インプラントの精度 その2 土台と冠の隙間」についてお話したいと思います。
インプラント:過去の亡霊
本日、診療をしているとある歯科医師から治療依頼があった。その患者さんは、以前にも拝見していて最近やっと治療に区切りが付いたので、依頼元のその歯科医師に戻したばかりだったので、一瞬ドキッとした。

その患者さんは、以前、米国でインプラント治療を受け、丁度1年ぐらい前に、その先生から、インプラントが破折しているので診て欲しいという依頼を受けた。治療は順調に進み、破折しているインプラントの摘出や新たなインプラントの植立などを終え、最近依頼元に戻っていただいた。今回は、別の場所のインプラントが折れているということで、電話があり、急遽、私のところへ来院していただいた。

結果、破折はしていなかったが、頚部から取れてしまっていたアバットメント(ジョイント)と上部構造体(冠)を取り外すのに非常に苦労した。ブレード型でしかも特殊は構造で、他のインプラントシステムとの互換性はまったくない。アバットメントをきれいに分離させる必要があったので、マイクロスコープ下にて、外冠を慎重に切断して取り出した。

米国の前医は、ブレード型と歯根型インプラントを混在させて使っており、おまけに上部構造体はセメントで合着していた。しかも、アバットメントスクリューへのアクセスホールは、セメントで満たされており、とても次の手を読んだ治療ではない。

前回の依頼の時は、ブレード型インプラントの頚部で破断しており、摘出と埋入に苦労させられた。上部構造体を作製する際にも、元からあった、歯根型インプラントのアバットメントから作製しなおそうとしたら、セメントで埋められていた。

確かに、セメント方式は世界でもスタンダードであるが、アクセスホールには緩衝用綿球などを置き、万が一の場合、スクリューにアクセスできるようにしておくのがマナーである。ブレード型インプラントは米国では20年前に、駄目出しされたものであるのに、なぜ使っているのだろう。骨幅はたっぷりあるのに、意味不明だった。

日本では、15年ぐらい前からブレード型は駄目出しされている。つまり、インプラントとしては使ってはいけないものとなっている。残念なことに、このブレード型インプラントが、日本で主流であった時期があった。このため、「インプラントは駄目な治療」だというレッテルを貼られた暗い過去が日本のインプラント業界にはある。

1970-80年代に、開業医主導で広まってしまった日本のインプラント治療は、簡便さから、ブレード型インプラントが主流となってしまった。理論もノウハウもなかった時代に、高額な治療費を得るためにインプラントを始めた先生が多かったため、ついには「インプラントは悪魔の囁き」などという本まで出させてしまった。

1990年代に入ると、失敗例が出尽くし、インプラントは歯根型で骨と癒着して初めて機能するということがコンセンサスを得るようになると、歯根型インプラント以外のインプラントを行っていた先生は廃業するか、システムを乗り換えることとなった。日本のインプラントの遅い夜明けである。

今でも、過去の亡霊とも言うべきブレード型を時々目にする。トラブルがあて、私の元に紹介されてくるので当然だが、それらは全て壊れている。そして、摘出は更に厄介だ、多くの場合、再びインプラントを埋め込めない状況になってしまっている。

気の毒なのは患者さんである。自分の口は廃業することも出来ないし、簡単にシステムを入れ替えることはできない・・・・
インプラントの治療費インプラントの真贋
「先生に何とかしてもらいたい人がいるんだけど・・・」ととある名古屋の方の先生から依頼を受けたのは数年前のことでした。数日後、診査のためX線を撮り愕然としました。本の中でしか見たことのない、インプラントのオンパレード・・・いや、とてもインプラントといえる代物ではなく、太いネジか釘のようであったのを記憶しています。

まず、他院で行われたインプラントの対応で真っ先にしなければいけないのが、そのインプラントメーカーとサイズの特定である。ほとんどのインプラントはそのX線像から見分けがつくが、これは特定できなかった。いや、今回は、特定するまでもなかった。なぜなら、この患者さんに使われていたインプラントは一般には流通していないものだったからで、簡単に言えば、その先生が独自に作ったインプラントだからだ。おまけにワンピースであるので、このようにトラブルを抱えたインプラントは摘出以外の選択肢はなかった。というより、骨と癒着していないので簡単に抜けてきた。

今回のように独自に町工場に作らせたインプラントを使うケースは非常に特異だが、歴とした歯科材料メーカーも似たようなものを提供している。特に国産メーカーに多い。

元々、インプラントというのはかなりシステマッティックに考えられ、構成されているものである。それが、利点でもあり欠点でもあるが、利点を超える欠点がないので、世界中の臨床家がほぼ同じような方向性を持ってインプラント治療を行っている。しかし、その中で、あえて欠点を補うことだけを目的に開発されたのが、ワンピースインプラントである。

一般的にインプラントのステップは3段階で、一次手術、二次手術、上部構造体作製である。当然、このステップごとに、パーツは構成されるので、インプラントは3パーツ、つまりフィクスチャー、アバットメント、外冠に分けられる。この各段階で慎重に処置が行われるから、インプラント治療は確実な治療法として、良好な臨床成績を50年間積み上げてきた。またこの分割された構造があるから、どこかに問題が生じた時に分解でき、簡単に対応が出来るのもインプラントの利点である。この利点は、普通の歯の治療にはない利点なので、インプラント特有の利点であるといえる。

しかし、これらの利点は、同時に欠点でもある。つまり、ステップが3段階もあるということは時間がかかり、3パーツに分けられるということは、そのパーツ間で破断する危険性もある。また、パーツが多いということは、費用もかかるということで、同時に手間がかかり、歯科技工士の質が問われることとなる。

そこで、ワンピースインプラントが開発された。簡単で技工操作の簡単なインプラントとして、近年登場した。簡単に言うと、太いネジを骨に刺す。埋め込むのでなく刺し込む。最初の手術で、歯茎からインプラントが飛び出ている。当然、歯茎から出ている分、感染するリスクは高い。運よく骨と癒着しても、感染は必ず起こしているので、長く持つ可能性は低くなる。数ヶ月の後に、その歯茎から飛び出ている部分を、歯を削るように削り、普通に型取りして冠をつくる。インプラントが骨と癒着さえすれば、後は普通どおりの治療となり、冠を金属で作るのであれば5千円ぐらいのコストで出来てしまう。ちなみにツーピースであれば、10万円ぐらいのコストになる。この差は、患者さんのみならず、歯科医師にとっても魅力的のようだ。当然である。手間暇かけて、10万円の利益を出すには、20万円の請求を患者さんにしなければいけないところを、ワンピースであれば、10万5千円ですむ。おまけに診療の労力は非常に軽い。いつも通りの歯を削って型を取るだけの作業で、インプラントの上部構造体が出来てしまう。専用の型取り剤やパーツ、腕の良い技工士さんも要らない。

このようなワンピースインプラントを見ると、贋物のブランド品や時計を連想する。パッと見は一緒だが、明らかに値段も質も違う。こういった贋物販売の場合、10万円の品が5千円ぐらいで売っているということは目に、耳にするので、どうしても連想してしまうのかもしれない。しかし、贋物であろうとも、そこそこ使えるのはバックでも時計でも、インプラントでもいいんだという意見を、患者さんや、そういったインプラントを行う先生からも時々言われると、そんなものかとも思うと少し寂しいように思う。

私自身、真贋にはこだわるほうなので、そんな治療はしたくはないと考えますが、皆さんはいかがでしょうか?

インプラントの治療費△修瞭睫
時々、インプラント治療を始めようとする先生から、「先生?インプラントはいくらに料金設定したらいいでしょう?インプラントの相場を教えてください。」と質問を受けます。非常に困る質問で、極一般的な相場を教えて答えとしています。

「大体、30−50万円ぐらいが相場ではないかなぁ」

答えた後、30万円になるか、50万円になるかは、市場経済の原則に従うことも付け加えることにしています。つまり、コストがかかれば価格は上がり、下がれば当然下がる。また、一人のインプラントロジストが年間に消化できる施術には限りがあるので、需要と供給のバランスが崩れれば、価格は上がることになります。

簡単に言えば、ビギナーでコストを抑えた治療であれば、30万円/歯とは言わずもっと安くても良いと思うし、熟練したドクターで、完成度を極めた治療であれば、50万円/歯とは言わずもっと高くても良いと思う。

ただコストといっても、目に見えるコストと目に見えないコストがある。目に見えるコストとはまさしく部品・材料代で、見えないコストとは技工料や施術料といえる。

インプラント治療の費用の内訳はおおよそ、部品代金が1/8、技工代金が3/8、施術代金(手術、人件費など)が1/2となっています。目に見えるコストは全体の1/8ですので、インプラント治療のほとんどは、目に見えないコストということになります。実は診察や手術に際しての治療費とは、そもそも目に見えないコストに対する対価なわけで、何もインプラント治療に限ったことではないのです。お医者さんで診察を受け、薬を出してもらうのに、初診料から診断料、処方料・・・ほとんどが目に見えないコストに支払われる料金で、ポリープを取ってもらう手術をしても同じです。

インプラント治療に対しても、単純に仕入れ値(目に見えるコスト)がいくらだから、利益を2割乗せて販売すればこの値段と・・・というものではなく、目に見えないコストをいくらで見積もるかというところで幅が出てきます。結局、いろいろなケースに対して設定された治療費を見ていくと、30-50万円/歯という金額に収まってくるのは市場経済の原理に基づくからなのでしょう。

ただ、なかなか一般の患者さんが設定された治療費を妥当かどうか判断するのは難しいと思います。そこで、一つの目安をご紹介しておきます。

「あまりにも安いまたは高い料金設定には理由がある」
高い治療費の設定であれば、誰でも注意しますのであえて注意を促す必要は無いと思いますが、特に安い場合には要注意です。消費者マインドとしては、飛びつきやすいのですが、今まで説明したように、目に見えないコストを削減しなくては、治療費を安くすることはできません。時々、「大量仕入れによりコスト削減しています!」と、大型家電量販店のようなキャッチコピーを謳っていることもあるようですが、そのようなことはまずありえません。仮に安く仕入れられたとしても、全体の1/8でしかないことを思い出してください。
また、安い治療費を強調しているところは、国産のインプラントメーカーでしかもワンピースを使っているところが多い傾向があります。国産メーカーも色々で、日本の工業技術は世界でも群を抜いていますので製品としては問題ありませんが、理由は製品の出来にではなく、独自の製品スタンスであったり、低い流通性や臨床・基礎データが乏しいということにあります。また、インプラントをきちんと学んだ先生は、科学的な根拠に基づく判断をする習慣がついているので、そのような問題点を多く抱える国産メーカーのインプラントは使用しない傾向にあります。
国産メーカーでワンピースであれば、治療費をかなり安くすることができますが、学術的にとてもインプラントといえる代物ではないというものも存在します。治療費であれば20万円以下で、安いところは10万円以下というところもあります。どうして、国産メーカーでワンピースは、安くできるのかは次回の「インプラントの治療費インプラントの真贋」で詳しく述べます。

インプラントの治療費(欷閏N鼎箸虜
一般的にインプラント治療は保険が利きません。保険が利かないということは自由診療、すなわち患者さんの自費診療となります。

このため、歯科医師は自分の技量や経費に見合った料金設定を自由に設定することができ、顧客である患者さんが料金を了承すれば治療を行うことができます。一見、売り手と買い手の2者間で価格が決定するということは、資本主義経済では当然のことですが、医療の世界には保険制度というものがあり、普通ではありません。

保険診療の治療費の決定は、この2者間の間に(治療費の7割を支払う)保険者が存在し、更に治療費の設定には国が関与するため、歯科医師や患者さんが独自に取り決められるものではありません。

保険治療に対する治療費は既に決まっており、技量や経費に対する考慮はされていません。つまり、研修医が治療を行ってもベテランで専門性の高い技術をもった医師が治療しても、同一料金で、おまけにその治療費は経験の浅い先生への医療報酬にあわせているような治療費の設定となっています。理由は簡単で、国の医療費としての財源が枯渇しており、高度・複雑化する治療費をまかなえないという現状があるようです。信じられないような話ですが、多くの保険(歯科)治療は、治療すればするほど赤字となるのも事実で、歯科医院の経営を圧迫し、その結果、治療のクオリティの低下につながっています。

そこで、現在の医学・歯学水準から、質の高い診療を行おうとした時に、選択されるのが自由診療ということになります。保険診療では叶えることのできない治療を、材料、技術、時間を歯科医師の思うが侭に費やせ、更に、自己の能力を存分に発揮できる環境が整うことにより、気力をも存分に費やすことができます。

自由診療の代表がインプラント治療ともいえます。インプラント治療は歯学部や歯科大学の教育カリキュラムではほとんど行いません。高学年で「インプラント治療とはこのような治療法です」というような概略の授業がある程度です。歯科医師国家試験では、インプラント治療における臨床知識を問うような出題ななく、かろうじて基礎知識を問う部分での出題が1問程度あるのみです(2007年現在)。つまり、一般的な歯科医師になるための歯科医師国家試験の要求としては、インプラント治療はそれを超えた治療法だといえます。このため、日本中どこの歯科医院でもできて、均一した歯科治療を目指す「保険治療」に、インプラント治療が組み込まれることはないと考えられております。

このような理由から、インプラント治療は高額な自費診療となっており、今後も保険治療で行えないものではないかと思われます。


では、なぜインプラント治療は、1本(歯)30-50万円という高額な治療費になっているのでしょうか?次回は、そこをクローズアップしてみたいと思います。「インプラントの治療費△修瞭睫」へつづく・・・


インプラント ワンピースvsツーピース
インプラントの構造は、大きく分けてワンピースとツーピースに分かれます。詳しい説明はこちらをご覧下さい。

どちらが良くて、どちらが悪いということは無いが、インプラント治療としてスタンダードなのはツーピースインプラントです。理由は、万が一、歯冠部分にトラブルがあった場合、骨の中に埋め込まれている部分と口の中に出ている部分が一体化しているワンピースでは大変な問題となるからです。また、インプラントを埋め込む時に生じる、感染のリスクもワンピースインプラントの方が高まることは言うまでもありません。

では、なぜ、ワンピースインプラントのニーズがあるのでしょうか?理由は明確です。コストを安くできるからです。

一般的に、ツーピースインプラントの治療費は、30-50万円/歯といわれています。一方、手術回数や部品も少なく、また、もともと精度の高さを考えていない(オーダーメイドと既製品の違いと考えるとわかりやすい)ワンピースインプラントであれば、普通の技工士さんが作製することができるので、10-30万円/歯程度で費用はすみます。

しかし、同じインプラントでも、ワンピースとツーピースでは、技術や労力に雲泥の差があり、それが治療費の差になっていることはあまり知られていません。

商用ベースで開発されたワンピースインプラントは利益性を追求する意味では、非常に都合の良いシステムですが、匠の技を追求することが歯科治療の本来の姿でもあると思います。私はそこにこだわりたいと思いますし、世の歯科医師達もそんなこだわりがあるからこそ、ワンピースに飛びつかないのだと思います。目先の利益ではなく、長い目で見た患者さんの利益を第一に考えれば、やはりワンピースインプラントはインプラントのスタンダードになれない、またはなってはいけないものかとつくづく感じます。
歯科用CTとインプラント
歯科用CTとは、低侵襲で高精度のCTです。医科用のCTと比べ、はるかに少ないX線量と照射野で、人体にやさしく、しかも歯科治療で要求される高精度画像を得ることのできるのが歯科用CTです。

今から10年ぐらい前に、日本大学歯学部の新井先生が発明しモリタと共同開発を行い世に誕生しました。

従来からインプラント治療にも医科用のCTを用いておりましたが、歯だけではなく頭部全てがX線被曝し、また、線量も非常に多かったことから、あまり積極的にCTは撮られませんでした。

しかし、この歯科用CTの登場により、通常用いられる歯科用X線機器とほぼ同じ程度のX線量となり、非常に簡便かつ低侵襲の診査が行えるようになり、今やインプラント治療には強力な診査ツールとして、大活躍しております。

インプラント治療において、CTを撮影しているかどうかは、治療結果にも影響いたします。平面図から立体を想像するのには、豊富な経験もさることながら、半分度胸も必要だとも言われていました。

より確実で安全なインプラント治療を行うには、埋め込む先の骨の状態を立体的に観察できるCTは不可欠だと思われます。

そのような中で、更に画期的な歯科用CTが登場しました。パノラマCTといわれる歯科用CTです。当院では、国内初のパノラマCTを導入しており、より安全な治療を提供したいと考えております。
インプラント医療事故
 東京都中央区八重洲の歯科医院で今年5月、人工歯根に人工の歯をつける「インプラント手術」を受けた、都内に住む会社役員の女性(70)が、手術中に出血し死亡していたことが13日、分かった。警視庁中央署は業務上過失致死の疑いもあるとみて、遺体を司法解剖するなど捜査を始めた。
 調べでは、インプラント手術は歯茎部分を切開するなどして人工歯根を差し込んだ上に、義歯を装着する外科手術。女性は5月22日、60代の男性院長から手術を受けている最中に出血が止まらなくなり容体が急変。すぐに別の病院に運ばれたが翌23日に死亡した。
 警視庁は出血と死亡との因果関係を調べるとともに、手術に問題がなかったか、院長らから事情を聴いている。
(7月14日7時1分配信 産経新聞)

以上のような、インプラント治療における事故のニュースがありました。

詳細はあまり公表されていませんが、漏れ聞くところによると、下顎へのインプラント埋入の際に、ドリルが顎骨を突き抜け舌動脈を損傷したことによる事故だったようです。

日本でははあまりない事故ですが、海外では今までに何例か報告されている事故です。

医療事故は絶対にあってはいけないことです。全ての医療従事者は、一症例一症例に慢心なく、細心の注意をもってあたるべきと考えます。但し、100%安全な医療行為はないのも現実で、インプラント治療においても不慮のアクシデントは起こりうる現実です。

医療事故は航空機事故に似ていると思います。航空機事故が起こり、「飛行機は危険な乗り物だ」「飛行機には乗らない」というのではなく、事故が起こらないようにするにはどうしたら良いか、良かったかを学ぶべきだと思います。インプラント治療のみならず、医療事故で被害を受けた方々には非常に同情を致しますが、医療行為とは、そもそも少なからずリスクを伴うということを双方が再認識する必要があると思います。

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